聴覚障害の前兆や初期症状について
聴覚障害の前兆や初期症状は、原因となる病気によって異なります。
外耳炎や急性中耳炎、滲出性中耳炎の場合は、聞こえづらさより先に耳の痛みや耳だれなどの症状から始まるケースが多いです。
症状の進行とともに小さな音が聞こえにくくなったり、大きな音が小さく聞こえるようになります。
鼓膜穿孔や耳硬化症、騒音性難聴の場合は、ほかの症状とともに片耳(もしくは両耳)の聞こえづらさや耳鳴りから始まり、徐々に進行します。
突発性難聴では前触れもなく突然耳が聞こえなくなります。
聴覚障害の検査・診断
聴覚障害が疑われる場合は純音聴力検査をして難聴の種類を想定した後に、ティンパノグラムや耳小骨反射検査、語音聴力検査をおこないます。
検査の応答が難しい新生児や乳幼児などには聴性脳幹反応検査が選択されます。
純音聴力検査
純音聴力検査では防音室でヘッドホンを装着し、125〜8,000Hzの異なる周波数(音の高さ)の音を聞いてもらい、それぞれの周波数で聞こえる最小の音の程度を調べます。
伝音難聴ではどの周波数でも小さい音が聞こえにくくなり、感音難聴では高い周波数の音で特に聞こえにくくなります。
ティンパノグラム・耳小骨反射検査
純音聴力検査で伝音難聴が疑われた場合は、ティンパノグラムと耳小骨反射検査によって中耳にある鼓膜や耳小骨の状態を確かめます。
ティンパノグラムは、専用の耳栓から鼓膜に向けて発した空気圧がはね返る程度を測定する検査です。急性中耳炎や鼓膜穿孔などの病気では、基準値よりも空気圧が低くなります。
耳小骨反射検査はヘッドホンで音を聞いたときの耳小骨の反応を確かめる検査で、中耳の機能が落ちている場合は、大きな音に対して耳小骨の収縮が見られなくなることがあります。
語音聴力検査
語音聴力検査は言語音の聞き取りや聞き分けの能力を測定する検査で、感音難聴が疑われた場合に利用します。
単語や文章に対してどの程度の大きさで何%聞き取れるか調べ、実際の会話における聞こえの状況を把握します。
感音難聴が起きている場合は、言語音を聞き取れる割合が低下します。
聴性脳幹反応検査
聴性脳幹反応検査は音刺激に対する脳幹の電気的反応を測定する検査です。
主に新生児や乳幼児、意識のない患者の聴力を測定するときに使用します。
現在は出産後3日以内に入院中の病院で「新生児聴覚スクリーニング検査」として聴性脳幹反応検査が行われることが多く、先天性難聴の発見に役立てられています。
配信: Medical DOC