「聴覚障害」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「聴覚障害」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

聴覚障害の治療

聴覚障害の治療は、原因の病気があれば薬物療法や手術療法で治療します。
病気に対する治療をおこなっても改善しなかったり、老人性の難聴で聴力低下が続く場合は、補聴器を使用することもあります。
先天性の病気で子どもの頃から聴覚障害が見られる場合などは、聴覚以外のコミュニケーション手段を習得します。

薬物療法

外耳道炎や中耳炎で伝導難聴が生じている場合は、抗生物質などの投与で改善するケースが多いです。
突発性難聴で感音難聴が起きている場合は、難聴を悪化させないように1週間以内にステロイド剤で治療することが求められます。

手術療法

滲出性中耳炎や鼓膜穿孔、耳硬化症が原因で感音難聴が生じている場合は、手術によって改善するケースがあります。
滲出性中耳炎では鼓膜に換気用のチューブを挿入する手術、鼓膜穿孔は鼓膜の穴をふさぐ手術、耳硬化症ではアブミ骨(耳小骨の一つ)の動きを改善させる手術をおこなって、難聴を改善させます。

補聴器の装着

補聴器は聞こえづらさによって日常生活に支障をきたす場合に検討するケースが多いです。専門医の診断のもと、補聴器販売店で自分にあった補聴器を購入します。
生活の質を改善させるほか、認知症やうつ病を予防する効果もあります。

コミュニケーション手段の習得

コミュニケーション手段の習得は主に聴覚障害のある子どもに対しておこなわれます。
聴覚障害の状態に合わせて、筆談や手話、口話(こうわ)、身振り、空書(くうしょ)などを習得し、日常生活でコミュニケーションを図ります。
日常生活がしやすいように家族や教師などが環境を整えるのも大切です。

聴覚障害になりやすい人・予防の方法

日常生活で常に大きな音にさらされて、内耳の機能が落ちやすくなっている人は騒音性難聴によって聴覚障害になる可能性があります。
風邪や慢性的な鼻炎などにかかりやすい人も、急性中耳炎や滲出性中耳炎になり、聴覚障害につながることがあります。

聴覚障害の予防のために、大音量での音楽鑑賞や騒音がでている環境を避けるなど、耳にやさしい生活を心がけましょう。
バランスの取れた食事の摂取や規則正しい睡眠、適度な運動、禁煙なども、耳の老化の進行を抑制したり免疫力を向上させるのに効果的です。

また先天性風疹症候群による難聴を予防するためには、風疹ワクチンの接種が有効です。ただし妊娠中は風疹ワクチンの接種はできないため、妊娠を希望する方やこれから妊娠する可能性のある方は事前にワクチン接種をする必要があります。
妊娠中は手洗いやうがいなどの感染予防対策をおこない、サイトメガロウイルス感染症や風疹の感染予防に努めましょう。

関連する病気

外耳道炎

急性中耳炎滲出性中耳炎

鼓膜穿孔

耳硬化症

突発性難聴

騒音性難聴

薬剤性難聴

老人性難聴

サイトメガロウイルス感染症

風疹

参考文献

一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会難聴について

一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会聴覚管理マニュアル

一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会補聴器を使って快聴ライフ!使い始めるタイミングから選び方まで

文部科学省(2)聴覚障害

風しんについて|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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