訪問診療は病院に通院できない高齢者の方や、終末期医療を望む患者様にとってはとても便利な医療サービスです。往診とは異なり、定期的に医師と看護師が診療してくれる安心感があるため、住み慣れた自宅で過ごしながらリラックスして治療に望むことができます。しかしながら、どの病院でも訪問診療に対応しているわけではなく、国内ではまだまだ訪問診療に対応するクリニックが少ないのが現状です。
「2025年問題」と訪問診療
高齢化が進む現在では、4人に1人が75歳以上となる「2025年問題」がすぐ目の前にまで迫っており、訪問診療に対応するクリニック数の増加が期待されています。現状のクリニック数では対応できないと考えられている理由としては、訪問診療には 24時間体制が求められるので、クリニック側にとっては負担が大きいと捉えられているからです。
訪問診療に対応するメリット
診療報酬の加算と人材確保
訪問診療の実施には大きな負担がかかるとされていますが、メリットもあるといえます。高齢化増加に伴い訪問診療の需要は高くなっているので、訪問診療に対応することで開業時に有利な状況を作り出すことができるのです。24時間365日の医療体制を整えて訪問診療を行えば、診療報酬が加算されるので経営的にもアドバンテージを得ることができます。さらに診療報酬が加算されることでスタッフの報酬も高くなるので、転職時の可能性として訪問診療を行うクリニックへの転職を希望するケースが増えることにも期待できるでしょう。
クリニックの価値向上
訪問診療に対応するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。これらの条件はいずれも厳格なものばかりですが、高齢化社会の中で需要が高まる今なら、訪問診療に取り組む方がメリットは大きいといえるでしょう。24時間体制の医療が必要となるため設備の充実化に課題が残りますが、緊急で訪問できる体制を作り上げることによってクリニックの価値そのものを上げることにも繋がります。
医療業界への貢献
また、訪問診療に携わることによって医療業界に対して大きな貢献をすることができるでしょう。高齢者増加によって医療を必要とする患者数が増えていくのはほぼ間違いありませんから、その一部を訪問診療で対応することで、病院へ殺到する患者の波を一定数おさえることができるのです。目の前に迫っている「2025年問題」にどう対応していくのか、医療体制の変革が求められています。
配信: 医科歯科健診コラム