監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)
鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。
レックリングハウゼン病の概要
レックリングハウゼン病(神経線維腫症1型)は、遺伝性の病気で、多くの臓器で異常が起こる病気です。約3,000人に1人の割合で発生し、日本には約40,000人の患者がいると推定されています。
(出典:日本皮膚科学会ガイドライン「神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病)診療ガイドライン 2018」)
レックリングハウゼン病の症状は多岐にわたりますが、代表的な症状として皮膚や神経組織の腫瘍(神経線維腫)と、「カフェオレ斑」と呼ばれる皮膚上の淡い茶色の斑点があります。
レックリングハウゼン病の原因
レックリングハウゼン病は遺伝性の病気で、第17染色体が原因遺伝子です。常染色体優性遺伝で遺伝し、片方の親が遺伝子変異を持っている場合、子どもが同じ変異を引き継ぐ確率は50%です。
しかし、レックリングハウゼン病は遺伝子の変異によって起こるため、両親にレックリングハウゼン病患者がいなくても、発症することがあります。実際、レックリングハウゼン病患者の半数以上は、両親がこの病気をもっていないケースで発症しています。
レックリングハウゼン病の原因遺伝子である第17染色体は、細胞の増殖を抑える役割がある「ニューロフィブロミン」の産生に関わっています。第17染色体に異常があると、ニューロフィブロミンの機能が正常に働かなくなり、細胞の異常増殖が起こることで、多岐にわたる病変が生じると考えられています。
また、細胞はあらかじめ自身を破壊するようにプログラム(アポトーシス)されていますが、遺伝子異常によってアポトーシスも抑制されます。通常はアポトーシスのおかげで細胞内の分泌物が放出されませんが、アポトーシスができずに細胞死した場合、分泌物が放出され、周囲の細胞や組織を傷つけてしまいます。
配信: Medical DOC