「レックリングハウゼン病」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

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レックリングハウゼン病の治療

現時点では、レックリングハウゼン病を根本的に治す治療法は存在しませんが、症状の管理や合併症の予防を目的とした治療が行われます。

レックリングハウゼン病の治療は、個々の患者さんの症状や合併症に応じて異なります。症状が多岐にわたるため、検査結果をもとに症状に合わせた治療を行っていきます。以下は、症状や合併症に応じて推奨または検討される治療法です。

びまん性神経線維腫に対するイマチニブ

手術が難しいびまん性神経線維腫(広範囲に広がる神経線維種のこと)に対して、抗がん剤であるイマチニブの使用が検討できますが、長期的な効果はまだ明確になっていません。

イマチニブは、特定のタンパク質の働きを抑え、腫瘍の成長を防ぐ効果が期待されています。動物実験でその効果が確認され、神経線維腫への有効性が報告されました。ヒトを対象にした試験も行われていますが、腫瘍が縮小したのは一部の患者に限られています。長期的な使用による効果や安全性には、さらなる研究が必要とされています。

ADHDに対するメチルフェニデート

ADHD(注意欠陥・多動性障害)を合併したレックリングハウゼン病の患者には、メチルフェニデートが効果的で、推奨されている治療法です。

メチルフェニデートは、脳内の神経伝達物質のバランスを整える働きがあり、ADHDの治療に広く使われています。レックリングハウゼン病の患者に対して行った1年間の治療で、有効性が確認されました。ただし、他の病気がある場合は使用できないこともあります。

脛骨偽関節症に対する外科的治療

脛骨偽関節症(すねの内側の骨が頻繁に骨折する病気)治療では、保存療法での骨癒合が難しいため、外科的治療が推奨されています。

年齢や症状によって異なる手術方法が選ばれますが、代表的なものに創外固定や骨移植、髄内釘と骨移植などがあります。手術での骨癒合率は70%以上とされていますが、再骨折のリスクや足関節の機能障害といった問題が残る場合があります。

脊椎変形に対する外科的治療

レックリングハウゼン病の脊柱変形は、dystrophic typeと non-dystrophic typeに分けられます。dystrophic typeは急な曲線や椎体の変形が特徴で、装具での矯正が困難です。そのため、早期の「脊椎矯正固定術」が推奨されています。dystrophic typeの側弯症は、放置すると進行が早いため、悪化する前に手術が必要です。non-dystrophic typeは、変形の進行度に応じて装具治療や手術が検討されます。

レックリングハウゼン病になりやすい人・予防の方法

レックリングハウゼン病は遺伝性の疾患のため、家族に遺伝的要因をもつ人がいる場合、発症リスクが一般より高いと言えます。しかし、家族がレックリングハウゼン病の原因遺伝子をもっていなくとも発症するケースも多いため、一概には言えません。

遺伝性の病気であることから予防は困難ですが、早期発見・早期治療は可能です。具体的には、出生前診断や出生後の検査で、レックリングハウゼン病の有無を確認できます。早い段階で、症状の進行を抑えるための治療が受けられます。

関連する病気血友病筋ジストロフィーダウン症マルファン症候群

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参考文献

日本皮膚科学会ガイドライン「神経線維腫症 1 型(レックリングハウゼン病)診療ガイドライン 2018」

日本小児科学会「レックリングハウゼン病」

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