化膿性骨髄炎の治療
化膿性骨髄炎の治療ではいかに早く抗生剤を投与できるかが重要です。
日本感染症学会のMRSA感染症の治療ガイドライン改訂版 2019では発症から48時間以内の抗生剤投与が推奨されています。抗生剤投与が遅れると、膿瘍や腐骨(感染による炎症で壊死した骨組織)の形成につながる恐れがあり、慢性化膿性骨髄炎に移行する可能性が高いと考えられています。
もし腐骨が骨髄内に形成された場合、抗生剤では化膿性骨髄炎が完治せず腐骨の摘出手術が必要になります。
骨壊死した組織は血管による血液供給が途絶えた状態であるため、抗生剤を投与しても抗菌成分が壊死部に届きません。そのため、手術で腐骨や骨壊死部を摘出した後はチューブを留置し、抗生剤を含んだ液体で洗浄する持続洗浄療法を行います。
人工関節置換術で感染した場合には人工関節の隙間に骨セメントを留置し、セメントを通じて抗生剤を患部に送る方法もあります。
化膿性骨髄炎になりやすい人・予防の方法
化膿性骨髄炎は感染性疾患であるため、免疫力が低下している人がなりやすいと考えられています。高齢者や糖尿病などの基礎疾患がある場合には免疫力が低下している可能性が高く、化膿性骨髄炎を発症しやすいといえます。
また、開放骨折や人工関節置換術を施工する人も化膿性骨髄炎を発症するリスクがあります。本来外気に触れることがない骨髄が外気に触れるためです。
化膿性骨髄炎の発症予防には菌を死滅させること、つまり感染が確認できた場合に抗生剤を適切に投与することが挙げられます。
また、開放骨折や人工関節置換術で骨髄が外気に晒された場合、外気に触れた部位の洗浄が非常に大切です。洗浄することで化膿性骨髄炎の原因菌を死滅させ、発症を予防することができます。
関節炎
参考文献
日本感染症学会MRSA感染症の治療ガイドライン改訂版 2019
和泉賢一 et al 肺炎球菌 による多発性化膿性脊椎炎 ・脊髄炎の1例 感染 症学 雑誌 第82巻 第2号 2008
井樋栄二, 津村弘 et al 標準整形外科学第15版 医学書院 2023
配信: Medical DOC
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