視覚障害の前兆や初期症状について
先天的な視覚障害では、生後すぐに目や視力の異常が認められることがあります。
先天性白内障では視覚的に水晶体が濁っていることが確認され、状態によっては重度の弱視を認めることがあります。また、弱視に伴い、片目の視線がずれる「斜視」や、眼球が揺れる「眼振」を認めるケースもあります。
未熟児網膜症は多くの場合自然に治癒します。しかし、在胎週数や出生体重が少ないほど重症化しやすい傾向があり、中には失明するケースもあります。
また、網膜色素変性の発症初期には、暗いところで物が見えにくくなったり、視野が狭くなったりすることがあります。
後天的な視覚障害では、初期症状としてその原因となる疾患に応じた症状を認めます。
視覚障害の原因が緑内障である場合には、自覚症状が乏しいため発症初期には気付かないケースも多くあります。ある程度症状が進行し、見える範囲が狭くなったり、視野の一部が欠けたりすることで初めて医療機関を受診する人もいます。
糖尿病網膜症は進行の程度によって「単純糖尿病網膜症」「前増殖糖尿病網膜症」「増殖糖尿病網膜症」に分けられ、発症初期の段階である単純糖尿病網膜症では、眼球に小さな範囲の出血を認めることがあります。
視覚障害の検査・診断
先天性白内障や未熟児網膜症による視覚障害の検査では、乳幼児視力検査や眼底検査が行われます。
また網膜色素変性症や緑内障、糖尿病網膜症による視覚障害の検査では、視野検査や視力検査が行われます。
乳幼児視力検査
乳幼児視力検査では、「視覚誘発電位」や「テラーカード法」などの視力検査が行われます。
視覚誘発電位は、脳波を測定することで視覚の異常を確認する検査です。一方、テラーカード法では、乳幼児が注目しやすい縞模様の二窓からなるカードを見せ、目の動きを確認することで異常の有無を調べます。
眼底検査
眼底検査とは、医師が検眼鏡を用いて眼底を観察する検査です。眼底カメラを用いて目の奥に位置する眼底を撮影する事もあります。眼底に位置する網膜や血管、視神経の状態を確認することができます。
視野検査
視野検査とは、真っ直ぐ前をみた状態で上下・左右・前方がどの程度の範囲見えているかを調べる検査です。検査では、片目を隠して正面に映し出される固視点を見つめ、見える範囲に光指標が現れたらボタンを押します。
視力検査
視力検査は、名称の通り視力の程度を調べる検査です。一般的に、視力検査では片目を隠し、「C」のような形のマーク(ランドルト環)を見て、上下・左右・斜めのどこに穴が空いているかを答える方法で行われます。
配信: Medical DOC