「IgG4関連疾患」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「IgG4関連疾患」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

IgG4関連疾患の前兆や初期症状について

一般的には無症状、あるいは非常に軽度の症状であることが多いです。頻度の高い症状としては、主に以下が挙げられます。

閉塞性黄疸(肌や白眼が黄色くなる)

上腹部不快感

食欲不振

涙腺腫脹(涙腺の腫れ)

唾液腺腫脹(唾液腺の腫れ)

水腎症(尿の通り道の拡張)

咳や喘鳴など喘息様症状など

これらの症状はあくまで一例です。障害される臓器によって症状は異なり、また個人差もあるため、すべての方に同一の症状がみられるわけではありません。

肺が障害された場合は喘息症状、涙腺や唾液腺が障害がされた場合はまぶたや下顎・耳の下の腫れ、目の乾きや口腔乾燥の症状がみられることがあります。また、膵臓や胆管が障害された場合は黄疸や糖尿病、腎臓や後腹膜が障害された場合は腎機能障害や水腎症、腹痛、腰痛などの症状がみられることがあります。気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の合併も多くみられます。

これらの症状は一般的な炎症性疾患や他の自己免疫性疾患でもみられるため、前兆や初期症状からIgG4関連疾患であると早期に診断することは難しく、はじめは他の病気を疑われることもよくあります。

IgG4関連疾患の検査・診断

IgG4関連疾患の診断は、2020年に厚生労働省研究班によって改訂された「IgG4 関連疾患包括診断基準 2020」が用いられますが、それぞれの臓器ごとの診断基準も作成されはじめており、両方を用いて診断することが多くなっています。

先述の通り、はじめは他の病気を疑われることもよくあることから、医師がIgG4関連疾患を疑ってかかることが診断につながります。IgG4関連疾患と診断するためには、検査などにより他の病気(悪性リンパ腫、全身性エリテマトーデスなど)を除外することが重要です。

IgG4関連疾患の検査には、血液検査、画像検査(造影CT、MRI)、生検検査などがあります。

血液検査

血液中のIgG4を測定します。「IgG4 関連疾患包括診断基準 2020」では、血清IgG4が135mg/dl以上であることが診断基準となっています。このほか、血清IgEの高値、白血球や血小板の減少、好酸球の増多などがみられることがあります。

画像検査

造影CTやMRIで病変を検索します。単一または複数の臓器にIgG4関連疾患に特徴的な画像所見(びまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変)を確認します。

生検検査

病変組織の一部に針を刺す、手術によって取り出すなどして、顕微鏡で確認する検査です。IgG4関連疾患に特徴的な初見(リンパ球・形質細胞の明らかな浸潤と繊維化、IgG4陽性形質細胞の浸潤、特徴的な繊維化)などを確認します。

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