「擦過傷」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「擦過傷」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

擦過傷の前兆や初期症状について

皮膚の表面が剥がれ、痛みや赤み、軽い腫れ、ヒリヒリ感、出血、透明な滲出液などの症状が生じます。浅い傷のため、出血は少ないです。傷口が治り始めると、かさぶたを作り、軽いかゆみを伴うことがあります。

また、擦過傷による損傷が真皮におよんでいる場合や損傷箇所に砂やゴミが入った状態のまま治癒すると、瘢痕(傷跡)が残ることがあります。

擦過傷によって感染症が生じた場合は、傷口が赤く腫れたり、膿が出たりすることがあります。また、破傷風菌が傷口から体内に入ると破傷風を発症するリスクがあります。

破傷風は、破傷風菌が作る毒によって神経系に悪影響をおよぼし、筋肉のけいれんやこわばりが生じたり、場合によっては命に関わることもあります。土や錆びた金属に触れる機会が多い人、破傷風のワクチン接種を行っていない人は、破傷風のリスクが高まるため注意しなければなりません。

擦過傷の検査・診断

擦過傷は、基本的に軽い外傷のため自己判断が可能な場合がほとんどです。しかし、傷の範囲や状態によっては、医療機関での検査や診断が必要になることがあります。基本的に視診や問診程度で、検査を行うことは稀ですが、感染症が疑われる場合は細菌培養検査や血液検査などを行うことがあります。

視診・問診

患者の傷を視診し、傷の範囲、深さ、出血の有無、感染の兆候などを確認します。擦過傷が皮膚の表面に限られているか、より深い組織にまで及んでいるかを判断します。

問診では、傷がどのようにして発生したのか、傷ができてからどのくらいの時間が経過しているか、既に行った応急処置や現在の症状についても確認します。

細菌培養検査

擦過傷が感染した場合、感染の原因となる細菌を特定するために、傷口からの分泌物を採取して細菌培養検査を行うことがあります。何の感染症に感染しているかを確認することで、適切な抗生物質を処方できるようになります。

ただ、細菌培養検査での破傷風菌の検出率は低いため、検出されなかった場合でも破傷風である可能性があります。その場合は、視診や問診で得られた情報から破傷風と診断することもあります。

血液検査

何らかの感染症がある場合、主に白血球の数やCRP値(体内での炎症や組織の破壊が起きていると上昇するタンパク質の数値)の増加が見られないかを確認します。

関連記事: