「擦過傷」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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擦過傷の治療

擦過傷の治療は、傷口の洗浄、必要に応じて消毒、傷口の保護、定期的なケアの順に行います。破傷風を始めとする感染症に感染している場合は、感染症に応じた治療が必要です。

傷口の洗浄

はじめに傷口の洗浄が必要です。傷口に付着した汚れや異物を取り除くことで、感染のリスクを減らします。傷口は、流水で優しく洗い流してください。基本的に水道水で十分ですが、可能であれば生理食塩水の使用が効果的です。

また、消毒に関しては必ずしもする必要はないと考えられています。むしろ、消毒することで正常な皮膚を傷つけて、感染リスクが上がるとの報告もあります。水道水や生理食塩水で洗浄をし、異物が残っていないことを確認したら、次の「傷口の保護」に移ります。

傷口の保護

傷口が清潔になったら、絆創膏やガーゼを使用して保護します。保護することで傷口が汚れや細菌に触れるのを防ぐことができます。

また、擦過傷は乾燥させるよりも、潤った環境を保つ方が治癒が早まるとされています。そのため、創傷被覆材(ドレッシング材)の使用が効果的です。創傷被覆材は、ガーゼとは異なり、湿潤環境を保つことを目的にしたもののため、治癒の促進が期待できます。

定期的なケアと観察

傷が治癒するまで、定期的に絆創膏やガーゼ、創傷被覆材を交換し、傷口の状態を観察します。赤みや腫れ、膿の排出などの感染兆候がないかも合わせて確認します。

かさぶたが作られている場合、無理に剥がさないようにし、自然に剥がれるまで待ちましょう。

傷口が腫れたり、痛みが強くなったり、膿が出たりなどが見られる場合は、早めに医師の診察を受けてください。

擦過傷になりやすい人・予防の方法

擦過傷は、日常生活の中で誰にでも起こり得るケガですが、子どもや高齢者、活動的な生活を送っている人、擦過傷を生じやすい職業に就いている人に生じやすい傾向があります。

たとえば、子どもやスポーツを楽しむ人、屋外での活動が多い人は、転倒や物体との摩擦による擦過傷のリスクが高くなります。また、建設作業員や庭師なども日常的に硬い物体や荒い表面に触れることが多いため、擦過傷が生じやすいです。

高齢者の場合は、皮膚が脆弱になっているため、わずかな摩擦でも簡単に皮膚が損傷しやすいです。

擦過傷予防としては「保護具の使用」が推奨されます。スポーツをする際には、擦過傷を生じやすい膝や肘に保護具を着用することで、防ぐことができます。

また、高齢者の場合は、滑りにくい靴を履くことで、転倒や転落による擦過傷の予防につながります。転倒しない環境づくりとして、家の床に滑り止めマットを敷いたり、階段や廊下に手すりを設置したりすることで、転倒のリスクを減らすことができるでしょう。

関連する病気

類天疱瘡

皮膚炎褥瘡

疥癬

破傷風

熱傷

参考文献

日本形成外科学会「急性創傷診療ガイドライン」

日本皮膚科学会ガイドライン「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―1:創傷一般ガイドライン」

一般社団法人 日本創傷外科学会「擦り傷」

National Library of Medicine「Abrasion」

東京都感染症情報センター「破傷風 Tetanus」

日本形成外科学会「傷(きず)・外傷」

厚生労働省「破傷風」

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