色覚異常の治療
現代の医療では色覚異常の治療法は確立していませんが、色覚異常がある人の生活をサポートするために、文章を提示する際は以下のような方法を取り入れると効果的です。
色合いに配慮する
文字に色を付けるときは明度差をつける
色の名前を表記する
色以外の方法で強調する
色合いに配慮する
文章を書くとき、文字を強調するために赤を使用することが多いですが、色覚異常の人は濃い赤が黒と混同しやすいため、オレンジや赤橙を使いましょう。
背景を白にするとより目立ちやすくなります。
赤のチョークで書かれた黒板の文字は見えにくいため、使用するチョークを白と黄色に限定している学校もあります。
文字に色を付けるときは明度差をつける
文字と背景色には、はっきりとしたコントラストをつけましょう。
白の背景に対して青の文字にしたり、黄色の背景に対して黒の文字にしたりすることで明度差がついて、色の区別がしやすくなります。
色の名前を表記する
色覚異常がある人の場合、色の呼び方がほかの人と異なったり、その場の照明によって色の見え方が変わったりすることがあります。
たとえば、書類の隅の方に「ピンク」と表記したり看板の端に「みどり」と書くことで、認識のずれを防ぐことができます。
色以外の方法で強調する
色覚異常がある人に文章を提示するとき、文字に下線を引いたり太字にしたりして、色以外の方法で強調する工夫をしましょう。
文章を書くときは区別するために色を使うことがありますが、色覚異常の人は赤が黒と同じように見えることがあります。
文字の大きさを変えたりフォントを変えたりすることも効果的です。
色覚異常になりやすい人・予防の方法
色覚異常になりやすい人は以下の人です。
男性
家族に色覚異常の人がいる
網膜や視神経、大脳に疾患がある
男性は遺伝子上の理由により、色覚異常になる割合が女性よりも多いです。家族のなかに色覚異常の人がいる場合も、色覚異常になる可能性が高くなります。
網膜や視神経、大脳に疾患がある場合は後天性色覚異常になる可能性があり、疾患が重症化すると、初期段階とは別の色を識別しにくくなる特徴もあります。
現段階で先天性色覚異常を予防する方法は確立されていませんが、後天性色覚異常のリスクを下げるためには以下の点に気を付けるとよいでしょう。
網膜や視神経、大脳の疾患がある場合はしっかりと治療を受ける
色の見え方に不安がある場合はできるだけ早く眼科医へ相談する
目や目の周辺組織、脳の疾患を抱えている場合は治療をきちんと受けて症状の管理に努めましょう。
色の見え方に少しでも不安を感じる場合は早めに眼科医へ相談しましょう。
関連する病気
先天性色覚異常
後天性色覚異常
網膜疾患
視神経疾患
参考文献
公益社団法人日本眼科学会「先天色覚異常」
公益社団法人日本眼科学会[「色が分かりにくい(色覚異常)」原因と考えられている病気一覧]
公益社団法人日本眼科医会「色覚異常といわれたら」
日本小児眼科学会「色覚異常」
国土交通省「2.色覚障害者の実態の把握」
北原健二「色覚の基礎と臨床主として後天性色覚異常について」東京慈恵会医科大学眼科
中村かおる「学校における先天色覚異常への配慮と指導」東京女子医科大学眼科
東京都福祉局「東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン」
高田有希子奥出祥代他「心因性が疑われた片眼性青黄色覚異常の1例」東京慈恵会医科大学眼科学教室
落合信寿近藤寛之「産業・環境安全のための視覚表示に用いる色彩の機能性と色覚異常への対応」産業医科大学医学部眼科学教室
厚生労働省職場における色覚異常についての正しい認識の促進について
配信: Medical DOC
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