映画の匂いが強い俳優がテレビドラマでも大活躍
――7月クールのドラマ『海のはじまり』が大好評です。若葉さんも前期『アンメット』がとても評判を集めました。池松さんは『宮本から君へ』(テレビ東京)の主演などでも映画ファン以外にも知られていますが、若葉さんは映画ファンにはよく知られた存在にも関わらず、映画を見ない層からは急にブレイクしたように騒がれた時期がありました。正直、どうご覧になっていましたか?
池松「テレビって凄いですね。僕はゴールデン帯連続ドラマに参加するのが 10 年ぶりだったんですが、こんなに反響があるかと驚きます。同時に映画ってあんまりみんな⾒てないよなと悲しい気持ちにもなります。でもとてもいいことだと思います。
様々なことが多様な時代、映画やドラマ、配信といったものへ、視聴者が⾃由にアクセスでき、それぞれが進化していくべき時に、各々の境界線を⾶び越えて、その領域を広げながら可能性を探っていくことは、とても良いことだと思っています。
⽇本映画、⽇本のドラマ、⽇本の映像界全体が、過渡期にあって停滞していることを⼤前提として、別分野からどんどん刺激を与えて変化を促していくことは必要なことだと思います。映画を中⼼に活躍してきた若葉くんが、ボーダーを超えて求められ、本⼈が納得して⾶び込んで活躍するというのは、素晴らしいことだなと思います」
実家が保育園をやっていたので、子どもに対する抵抗感は一切ない
――『ぼくのお日さま』も『海のはじまり』も、子どもとの共演作ですが、池松さんは、ほかにも「池松壮亮が子どもと出会い、週末を一緒に過ごしてみたら」というプロジェクト「Fill Me In!(ねぇ、おしえて)」もされていますね。池松さん自身は、10歳のときにデビューされましたが、子ども時代から大人に囲まれてお仕事してきて、子どもが苦手になることはなかったのでしょうか。
池松「僕は兄弟やいとこが多い環境で育ちました。それから⽗が建築の会社をやっているのですが、25年程、保育園も運営していました。
実家の近くにあって、4⼈兄弟みなそこに通い、お迎えの時間に間に合わなかった⼦どもたちが、僕が家に帰ると実家で⾛り回っていたりしました。⼦どもが多い環境が当たり前にありました。そうした環境があったおかげか、⼦どもに対する抵抗感みたいなものは、⼀切ありません」
――そうなんですね。
池松「また、30代を迎えて、コロナ禍を経て、これからの社会や時代を⾒つめたときに、もっと未来にフォーカスしていくべきだと強く感じるところがありました。
『ぼくのお⽇さま』は、参加を決めた時点では 6枚のプロット段階でした。それでも、⼦どもの指導者として、⼤⼈としてどういう態度を取ることがこれからの未来を担う⼦どもに対して正しいのかを、この作品や役を通じて探求できるかもしれないと思いました。若くして成熟した感性を持つ、奥⼭さんというこれからの才能と共に、そうした答えのない旅に出たいと思いました」
<取材・文・撮影/望月ふみ>
(C) 2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテほかにて公開中
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
配信: 女子SPA!
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