「テタニー」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「テタニー」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

テタニーの治療

テタニーの症状がでたときは、薬物療法や呼吸指導などで対処します。
基礎疾患が原因で生じている場合は、病気に対する治療も並行しておこないます。

薬物療法

血液検査で低カルシウム血症が確認された場合、カルシウムの補充がおこなわれます。
グルコン酸カルシウムの点滴投与をおこない、同時にカルシウムの吸収を促す活性剤ビタミンD製剤も投与します。
マグネシウムの値が低い場合は、カルシウムやビタミンDの補充をしても十分な効果が得られない可能性が高いため、硫酸マグネシウムも点滴投与します。
薬物療法は血液検査の結果や電解質の状態、症状の程度を確認しながら、投与量が調整されます。

呼吸指導

過換気症候群でテタニーが生じた場合は、呼吸指導をおこないます。
不安や恐怖を取り除くように声掛けをし、リラックスできるように促しながら、腹式呼吸をおこなってもらいます。
腹式呼吸は横隔膜を使ってゆっくりと長く息を吐くことで、自律神経のバランスを整え、過換気を抑制する効果があります。
しかし、根本的な原因解決のためには、ストレス管理や不安への対処法を身に付けることが重要です。

テタニーになりやすい人・予防の方法

テタニーは過換気症候群を繰り返している人や、副甲状腺機能低下症、腎臓の機能低下などで血液中のカルシウムやマグネシウムが低下しやすい人に起こりやすいです。
妊娠中や授乳中の女性もカルシウム不足になりやすいため、注意が必要になります。

予防の方法は、バランスの取れた食事を心がけ、カルシウムやマグネシウムを含む乳製品、緑黄色野菜、魚類などを意識して摂取することが重要です。
日光を浴びてビタミンDを摂取したり、水分摂取を心がけて電解質のバランスも整えましょう。

過換気症候群を予防するために、リラックスできる方法を見つけてストレスをためないことも大切です。
副甲状腺機能低下症や慢性的な腎臓の病気がある場合は、定期的な検査と適切な治療を受けることが予防につながります。

関連する病気

低カルシウム血症

低マグネシウム血症

ビタミンD欠乏症過換気症候群

副甲状腺機能低下症

慢性腎不全

急性腎炎

ネフローゼ症候群

参考文献

公益社団法人鳥取県医師会健康ア・ラ・カルト

一般社団法人日本内分泌学会特発性副甲状腺機能低下症

難病情報センター副甲状腺機能低下症(指定難病235)

一般社団法人日本女性心身医学会女性の病気について

一般社団法人日本呼吸器学会過換気症候群

竹内靖博:カルシウム代謝疾患の救急:高カルシウム血症クリーゼと低カルシウム血症性テタニー. 日本内科学会雑誌,105(4), 658-666,2016

副田圭佑, 駒場大峰:カルシウム・マグネシウム異常. 日本内科学会雑誌,111, 934-940,2022

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