乳がんが再発した場合の余命・生存率
転移・再発乳がんの余命や生存率は、転移場所や乳がんのサブタイプによってさまざまです。ホルモン受容体陽性乳がんでは全生存期間の中央値(データを小さい順に並べたときの真ん中の値)は44.8ヶ月です。HER2陽性乳がんでは58ヶ月、トリプルネガティブ乳がんは14.2ヶ月と報告されています。乳房やリンパ節などの局所再発のみである場合は完治を目指して治療を行います。他の臓器に転移がある場合は、完治が難しく薬物治療を中心に行います。
乳がんが再発した場合の治療法
乳がんが乳房やリンパ節などの局所に再発した場合は、必ず他の臓器に転移していないか全身検査を行います。局所再発のみの場合は、完治を目指して治療を行います。
手術
乳房部分切除後に温存した乳房に再発した場合は、一般的には乳房全切除を行います。再発リスクが低い場合に限れば、再度の部分切除ができる可能性もあります。また、乳房全切除後に皮膚や胸壁に再発した場合も、切除が可能であれば手術を行います。リンパ節に再発した場合も、切除が可能であれば手術を行います。治療は乳腺外科で行います。
放射線治療
局所再発に対して、放射線治療を行うことがあります。手術で切除した後の再発予防や切除が難しい場合にがんの進行抑制のために行います。ただし、一度放射線を当てた部分には照射ができないため、最初の手術時に放射線照射をしていない部位に限られます。治療は放射線治療科で行います。
内分泌療法
局所再発の切除後の再発予防目的や切除が難しい場合に薬物治療を行います。ホルモン受容体陽性乳がんの場合は、内分泌療法を行います。初回の手術後に行っていた薬の種類や再発までの期間に応じて薬を選択します。どのくらいの期間治療をつづけるべきかについては明確ではありません。治療は乳腺科で行います。
抗HER2療法
局所再発の切除後の再発予防目的や切除が難しい場合に薬物治療を行います。HER2陽性乳がんの場合は、乳腺科で抗HER2治療を行います。初回の手術時の薬物治療の内容を考慮して、治療を選択します。
化学療法
局所再発の切除後の再発予防目的や切除が難しい場合の進行を抑える目的で化学療法を行うことがあります。化学療法はどのタイプの乳がんに対しても有効です。局所再発の切除後に3~6カ月間の乳腺科で治療を行います。初回の手術時の治療内容や再発までの期間、患者さんの体調やご希望を考慮して、治療を選択します。
配信: Medical DOC