乳がんが再発し転移もある場合の治療法
他の臓器への転移がある場合は、薬物治療が基本となります。1つの治療を行って効果があるうちは続け、効果がなくなったら別の治療に変更します。
内分泌療法
ホルモン受容体陽性乳がんであり、差し迫った生命の危険がある内臓転移がない場合は、内分泌治療を行います。内分泌治療に加えて、CDK4/6阻害剤やmTOR阻害剤などの分子標的薬を併用することがあります。治療は乳腺科に通院して行います。分子標的薬による下痢や息切れなどの副作用が出る場合があります。症状がある場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
抗HER2療法
HER2陽性乳がんの場合は、抗HER2療法を行います。抗HER2薬の種類によっては抗がん剤と併せて治療を行います。乳腺科に通院して治療を行います。息切れなどの副作用がある場合は早めに医療機関に相談しましょう。
化学療法
化学療法は全てのタイプの乳がんに有効です。ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法が効かない場合や差し迫った生命の危険がある転移の場合に化学療法を行います。乳腺科に通院して治療を行います。化学療法は正常な細胞にもダメージをあたえるため、髪の毛が抜ける、感染に弱くなるなどの副作用があります。治療中は感染に気を付けて生活し、つらい症状がある場合は医療機関に相談しましょう。
免疫チェックポイント阻害剤
PD-L1陽性のトリプルネガティブ乳がんでは化学療法に併せて免疫チェックポイント阻害剤による治療を行います。乳腺科に通院して治療を行います。免疫チェック阻害剤特有の副作用があります。特に高熱、意識の低下、呼吸困難、手足の麻痺、頻回の下痢などの症状がある場合はすぐに医療機関に相談しましょう。
PARP
乳がん全体の5%にBRCA1/2遺伝子の病的バリアントがあるといわれています。BRCA病的バリアントのあるHER2陰性乳がんに対して、PARP阻害剤が有効です。アンスラサイクリン系とタキサン系の化学療法の治療歴のある方には乳腺科に通院して治療を行います。吐き気や貧血などの副作用が出る可能性があり、症状がある場合は医療機関に相談しましょう。
放射線治療
痛みのある骨転移や脳転移に対して症状を和らげるために放射線治療を行うことがあります。手術後に放射線照射をしていない部分であれば乳房やリンパ節に対しても進行を抑え、症状を和らげるために放射線治療を行うことがあります。
「乳がんの再発率」についてよくある質問
ここまで乳がんの再発率などを紹介しました。ここでは「乳がんの再発率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
乳がんの再発は、初めて発症してから何年後に発症しますか?
山田 美紀 医師
再発のタイミングはステージや乳がんの性質によってさまざまです。10年以上たってから再発することもあります。
乳がんは、全摘出しても再発することはあるのでしょうか?
山田 美紀 医師
全摘出しても、乳房の皮膚や胸壁に再発することがあります。全摘出後の局所再発率は10%未満といわれており、そのうちの3分の1は遠隔転移を伴っていると報告されています。
配信: Medical DOC