「狂牛病」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「狂牛病」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
勝木 将人(医師)

2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

狂牛病の概要

狂牛病は、牛が「BSEプリオン」という病原体に感染することで発症する病気です。狂牛病を発症している牛の肉を食べた場合、ヒトにも感染する恐れがあります。

狂牛病は「牛海綿状脳症(BSE)」とも呼ばれ、脳にBSEプリオンが増殖することで脳の組織がスポンジ状(海綿状)になり、運動失調や異常行動などを呈する疾患です。発症後は急速に病状が進行し、死に至ります。現在のところ、有効な治療法は確立されていません。

これまで、BSEプリオンに感染した牛の脊髄などを原料とするえさが流通したことで、動物間で感染が拡大した経緯があります。国内でも、平成13年から平成21年1月までに狂牛病を発症している36頭の牛が発見されています。
(出典:厚生労働省「牛海綿状脳症(BSE)について」)

ヒトが狂牛病の牛肉を食べた場合、BSEプリオンに感染して「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」を発症することがあります。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症すると、歩行障害や視覚異常、認知症などが急速に進行して寝たきりの状態になります。症状は急速に進行し、やがて肺炎などを合併して死に至ります。

近年では、牛の脊髄などを家畜のえさに使用しない対策などが講じられたことにより、狂牛病の発症数は激減しました。国内でも、平成15年以降に生まれた牛からは狂牛病の発症は確認されていません。

牛やヒトがBSEプリオンに感染しても有効な治療法がなく、致命的な状態に陥るため、感染しないよう入念な対策を講じることが重要です。

狂牛病の原因

狂牛病の原因は「プリオン」と呼ばれる感染性のタンパク質です。
プリオンは元々動物や人間の脳に存在するタンパク質であり、異常に増殖したり感染性を持ったりすることはありません。しかし、正常なプリオンがBSEプリオンと接触することで、異常プリオンに変性して増殖し、脳を障害します。

BSEプリオンは、特に動物の小腸や脳、脊髄などに集まる特徴があります。そのため、空気感染や飛沫感染で広がることはなく、プリオンで汚染された食肉などを食べることで感染が広がります。

BSEプリオンは熱に強いため、通常の調理法では完全に消毒することはできません。ヒトに感染する場合には、BSEプリオンに感染し、狂牛病を発症している牛の肉を食べることが原因になります。特に狂牛病の発症が確認されている地域で牛の内臓や骨付き肉、ソーセージなどを食べることで感染リスクが高まります。

また、英国では、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症している人の血液から感染した事例が報告されています。そのため、狂牛病を発症している牛肉を食べるほか、それによって感染した人の血液を輸血するなどして狂牛病を発症する恐れがあります。

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