「産後の恨みは一生」なら「産後の感謝も一生」。管理職だからこそ残業しないパパの働き方!

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会社が新たに導入した育休の支援制度を夫婦で利用!

――夕祈さんが育休を取得した経緯を教えてください。

夕祈さん 今回、第二子が生まれて2カ月のタイミングで男性育休を取得したんですが、もともと2020年に第一子が生まれたときも興味があって、取ってみたいと思っていました。ただ、当時は自分が管理職に上がったばかりで、かなりバタバタしていたので、自らの判断で取得しませんでした。

次女が生まれたのは2022年。ちょうどこの年に育児・介護休業法の改正の施行が行われ、国としても男性育休を推進する動きが高まりました。そしてこの時期に合わせて会社が新たに「ファミリーエクスペリエンス制度」という男性育休を取得した際に支援金を支給する独自の制度を新設したんです。

それもあって、会社の役員から「育休を取得しなよ」と声をかけられたことが取得のきっかけに。自分としても長女が生まれたときの状況とは異なり、仕事に慣れていたこともあって、初めての育休取得を決断することができました。

――そうだったんですね。ファミリーエクスペリエンス制度とは具体的にどういった制度ですか?

夕祈さん CHINTAIに勤務する男性社員もしくは女性社員のパートナーが育休を取得した際に、2週間以上1カ月未満の場合だと5万円、1カ月以上取得で20万円が支給されます。女性社員のパートナーは弊社以外の企業に勤務していてももらえる決まりです。我が家の場合は夫婦でCHINTAIに勤務しているので、合計40万円支給されました。

――それは助かりますね!

佳奈さん 本当に。実はこの制度、自分も仕事と子育てを両立している女性の人事担当者の発案で導入されたものなんです。彼女自身、パートナーが育休を取れず、大変な思いをした経験があり……。

男性はどうして育休を取らないんだろう?と、彼女は弊社の男性社員にインタビューして回ったそうです。すると、理由として多かったのが「休んだ分の収入面(の減少)が不安」というものでした。彼女自身、自分の立場に当てはめて考えると、夫が休みを取れたとしてもお金の面はかなり心配だっただろう……と納得したといいます。そうした現場の声や自らの経験を踏まえ、社員に家族との時間をより豊かに過ごしてほしいと思ってできたのがファミリーエクスペリエンス制度だったんです。

実はその人事担当の女性社員は私と年齢が同じで、上の子も同い年。社内のママ友として、仲良くお昼ご飯に行きながら「どんな制度があったらもっと働きやすくなるかな?」みたいな話をしていたので、彼女の案が実現したことはとてもうれしかったです。そのうえ私たちも恩恵に預かることができてありがたかったですね。

――社員の思いを実際の制度にして取り入れるスピード感から、柔軟な社風を感じました。

佳奈さん そういう新たな制度を柔軟に取り入れる寛容さは、社風としてあると思いますね。また弊社は企業文化として女性の活躍を大事にしており、女性管理職の比率も比較的高いんです。実は先ほど話した女性社員だけではなく、人事の管理職や管掌役員も女性です。なので、女性が育休中に感じる子育ての大変さや、夫が家にいることでどれだけ助かるかなどもイメージを共有しやすかったのではないでしょうか。

社内のイベントに長女と参加。「CHINTAIはとてもアットホームな会社。育休中も社員が家まで遊びに来てくれて、子どもたちを可愛がってくれました。」(夕祈さん)

管理職の自分が不在の間、部下たちが大きく成長!

――役員にすすめられて夕祈さんが育休を取得されたと聞きましたが、ということは、会社でも歓迎ムードだったわけですね?

夕祈さん そうですね。今お話したように法改正の施行とファミリーエクスペリエンス制度が新設されたタイミングだったので、社内の男性育休取得についての機運が高まっていました。先ほどの人事の役員からは「育休取るでしょ?」と顔を合わせる度にプレッシャーをかけられる程でしたから(笑)。

――それでも、何か心配することはありましたか?

夕祈さん ありました。当時、東京の本社営業部という首都圏エリアの営業部門の部長を務めていたのですが、1カ月も不在にすることで部署の売上が落ち込んでしまうのではないかと危惧していたんです。

営業をしていると、毎月解約するクライアントは必ず出てきます。所属部署の売上目標を達成しようとすると、解約以上に新規の契約を取ってこないといけません。私は解約を防ぐ、新規契約を取ることがともに得意で、 営業スタイル的にも部署のメンバーに付いて現場に出ることが多くて。その自分がいないとなると、それ相応の影響が出て、部署の売上が落ち込むかも……そんな心配をしていました。実際、部下からも「不安です」という言葉をもらっていましたし、中には心配しすぎて会社を辞めそうくらいのテンションの部下もいましたから。

――それは気になってしまいますよね。いざ育休に入ってみてどうでしたか。

夕祈さん 想定外のことがありました。管理職の私がいない間にみんながすごく大きく成長をしてくれたんです。自分の懸念に反して、実際は「上司不在だからこそ頑張る」というモチベーションで案件を進めてくれていたようです。蓋を開けてみると、部署の解約率も少なかったです。

育休に入る前、「わからないことはLINEでもチャットでも対応するからなんでも聞いて」と伝えておいたので、最初はちょこちょこ連絡が来ていました。ただ、それも1週間くらい。あとは自走してくれましたね。

――部長の不在が、若手社員たちの成長につながったのですね。

夕祈さん ほかにも例えば、大手で今まで一度も契約が取れたことのない企業があって。それまで私が個人的に進めていた案件で、一応、育休に際して担当者を置きましたが、あまり期待をしていなかったんです。なのに、復帰後「今度ちょっとアポ取って一緒に行こう」とその担当社員に話かけると、「私もう仲良しなんで、いつでもアポ取れますよ」と言われてびっくり。こんな感じで、たった1カ月でここまで変わるのかと部下の変化に驚くことばかりでした。

実は育休に入る前に辞令が出ていて、私は現在は大阪の関西支社にいます。育休を取得した際は誰にも言えませんでしたが、すでに大阪に行くこと自体は決まっていて、復帰して数カ月後には異動となりました。結果的に、育休を取得した1カ月は、当時の部下にとっては私に頼らず仕事を進める予行演習の機会になったかなと思っています。

「育休中にニューボーンフォトも兼ねて家族写真の撮影に行きました」(佳奈さん)

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