低用量ピル・黄体ホルモン製剤と更年期&閉経
――低用量ピルや黄体ホルモン製剤は閉経のタイミングで服用を止めるとされていますが、服用中は生理が止まっているため、いつまで飲めば良いのかわからないと悩む方も多いようです。
宋先生:閉経の平均が50歳ぐらいなので、45歳~55歳ぐらいを目途にやめましょうとお伝えすることが多いですね。あるいは、血液検査で女性ホルモンの数値を確認して判断することもあります。
――多くの女性が悩まされる「更年期障害」ですが、これは体内のエストロゲン量が急激に減少することで起きるとされています。ということは低用量ピルを服用している限り、更年期障害にはならないと考えて良いのでしょうか?
宋先生:理論上は更年期にならないホルモンバランスにはなります。理論上更年期障害は起こらないかもしれないけど、老化は起こりますし、低用量ピルは更年期に補充する量にしてはエストロゲン量が多すぎるんです。
量が多すぎるということは血栓症のリスクが高まります。そのため、私は45歳ぐらいまででエストロゲンの入っていない黄体ホルモン製剤に切り替えることを推奨しています。
納豆と水分補給では血栓症は防げない
――低用量ピルを服用している際に最も気をつけなければいけない血栓症ですが、納豆を毎日食べて水分補給もしっかりしているという方なら防げるものなのでしょうか?
宋先生:納豆や水分程度では追いつかないくらい血栓ができる恐れがあるので、全く防げないですね。ないよりはいいかもしれないけど、気休め程度です。
毎日ビタミンCのサプリを飲んでホワイトニングの美容液を塗ってたら日焼け止めいらないですか? そんなことないですよね。
なんとなくの知識やネット上のデマで勘違いしがちな低用量ピル・黄体ホルモン製剤。少しでも気になることがある場合には処方してくれている医師に相談するのが一番ですね。正しい知識と使い方で月経や避妊の悩みを改善しましょう。
【宋美玄(ソン・ミヒョン)】
産婦人科医 医学博士、丸の内の森レディーズクリニック院長
1976年兵庫県神戸市生まれ、大阪大学医学部医学科卒。10年に出版した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集め、以後妊娠出産に関わる多くの著書を出版。“カリスマ産婦人科医”としてメディア出演、医療監修等、女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスや女性の性など積極的な啓蒙活動を行っている。2児の母。
<文/松本果歩>
【松本果歩】
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。X:@KA_HO_MA
配信: 女子SPA!
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