●「子どもたちに罪はない」「誰の利益にもならない」
元入管職員の木下洋一氏は、筆者の取材に対して、空港で上陸拒否される理由について「難民申請をしそうな者をあらかじめ入国させたくないという入管の心理が根底にある」と回答した。
「元法務大臣の判断は評価している。今までにはこういう事例はなく、それにより救われた家族もいるだろう。今回のことで選ばれなかった子どものことは入管としてはこれからも個別に判断していく考えだろう。しかし、その基準が曖昧なのは当事者として辛いところなのは理解できる。
自分の意思でここにいるわけではない子どもたちに罪はない。子どもたちを長期にわたって不安定な状態に置くことは誰の利益にもならない。また、たとえ難民でないとしても、日本で成長した彼ら彼女らに『帰国』を強要するのも現実的ではない。
場合によっては、家族と切り離して判断することもあるにせよ、判断基準をより明確にして、一刻も早く子どもたち(すでに成人となった人たちを含む)への救済を願いたい」
在留特別許可の方針発表から1年を過ぎた今も、出ないかもしれないビザを待ち続けている子どもたちがいる。残された彼・彼女たちのために政府は今後どう動いていくのか、注視していきたい。
配信: 弁護士ドットコム