「大人の急性リンパ性白血病の生存率」はどのくらいかご存知ですか?【医師監修】

「大人の急性リンパ性白血病の生存率」はどのくらいかご存知ですか?【医師監修】

急性リンパ性白血病の検査

急性リンパ性白血病の診断に行われるのは、身体診察・血液検査・骨髄検査です。身体診察では、医師が患者さんの一般的な健康状態をチェックしながら、リンパ節などの腫れや感染症の有無・出血症状の有無を診ます。同時に問診で、職業や過去の病歴などを聞かれるので、事前にメモなどに書き出しておきましょう。
血液検査をするのは、血液細胞の数・血液の凝固機能・内臓障害の有無を調べるためです。しかし、急性リンパ性白血病では、血液中の白血球が異常に多い場合も少ない場合もあります。骨髄検査をするのは、血液検査だけでは急性リンパ性白血病であると断言できないからです。
骨髄検査では、胸骨か腸骨から細い針で少量採取した骨髄液を、メイギムザ染色法を用いて細胞の1つひとつを丁寧に観察します。骨髄にある芽球の数が20%以上あり、メイギムザ染色法で陽性となる芽球の数が2%以下であれば、急性リンパ性白血病と診断確定です。
急性リンパ性白血病と診断が確定したら、次は、染色体検査・表面抗原マーカー検査・遺伝子検査を行います。これらの検査は、治療法を決めたり染色体異常や遺伝子異常を発見したりするのに有効です。また、検査で使う検体は採血で採った末梢血を使うので、患者さんの身体的負担はほとんどありません。

急性リンパ性白血病の症状

急性リンパ性白血病を発症すると、身体にさまざまな症状が現れます。
この記事では、成人によくみられる症状と対処法について紹介するので、参考にしてください。

貧血

貧血は、急性リンパ性白血病によくある症状のひとつです。
急性リンパ性白血病の場合は造血する力が弱くなって赤血球の数が少なくなるのが原因で、ふらつき・倦怠感・息切れなど の自覚症状がよくみられます。
また、急性リンパ性白血病による貧血は、抗がん剤の副作用で起こるケースもあるのも事実です。抗がん剤治療をしている患者さんで貧血を疑われる症状が出たら、早く主治医に相談してください。

動悸・息切れ

急性リンパ性白血病による動悸や息切れは、貧血に由来するものです。貧血も重症化すると輸血が必要になるので、早く主治医に相談しましょう。
どうしても受診できない場合はしばらく、無理に動かない・体を温める・栄養補助剤を服用するなど応急処置 で凌いでください。災害などの非常時にも役立つので、使い捨てカイロ・ビタミンCなどの栄養補助剤・処方されている鉄剤などを自宅などに常備しておくのがおすすめです。

鼻血・歯茎からの出血

急性リンパ性白血病を発症すると血小板の数が少なくなり、出血が止まりにくくなります。鼻血・歯茎からの出血のほか、皮下出血も起こりやすくなるので全身の様子も毎日チェックしましょう。日常生活では出血を起こさないよう、身体をぶつけない・優しい力で歯磨きをする・皮膚を強くこすらないようにするなどしてください。
また、急性リンパ性白血病で化学療法を行うと、口腔内や消化器官に「ただれ」が生じて出血しやすくなります。まれに抗がん剤が肝機能障害を招いて血液凝固因子を作れなくなるために出血するケースもあるので、出血傾向がみられたら必ず主治医に相談してください。

発熱

白血球は、身体に侵入した病原体やウイルスなどの異物と戦う役目を持つ血液細胞です。急性リンパ性白血病を発症すると正常な白血球が激減するので、感染症にかかりやすくなると同時に発熱もしやすくなります。
白血球の数は化学療法を始めるとさらに少なくなり、最も少なくなるのは治療後7日~14日目です。急性リンパ性白血病を発症したり治療を始めたりしたら、主治医に白血球数を調べてもらいながら適切な感染症対策を取りましょう。
患者さんが自分でできる対策としては、人ごみを避ける・入浴時間を短くする・毎食後歯磨きをする・加熱していない食べ物を避けるなどがあります。

倦怠感

急性リンパ性白血病で倦怠感が現れるのは、赤血球が少なくなるからです。倦怠感は貧血による症状の1つでもあります。倦怠感が出てきたら、貧血に準じた対応を取りましょう。
しかし、倦怠感の場合も他の症状と同様にいつまでも自宅で様子をみず、早く受診し、主治医に相談してください。

臓器に浸潤すると関節痛・リンパ節の腫れが出ることも

白血病細胞が増殖すると、やがて内臓にある臓器や関節にも浸潤し、腫れを生じさせます。特に、浸潤しやすい臓器はリンパ節・肝臓・脾臓・歯茎ですが、急性リンパ性白血病では特に、リンパ節の腫れがよくみられるのが特徴です。
リンパ節は首・わきの下・脚の付け根にあり、皮膚表面から手で触れるだけで腫れているか否かがわかります。ときどき、患者さん自身の手で触れてチェックしてみてください。
急性リンパ性白血病で関節痛や骨の痛みが生じるのも、白血病細胞の浸潤が原因です。関節痛や骨の痛みは、小児では初期症状でよくみられますが、成人の場合はほとんどありません。

中枢神経に浸潤すると頭痛・吐き気が起こることも

急性リンパ性白血病では、増殖した白血病細胞が中枢神経に浸潤しやすい のが特徴です。
白血病細胞が中枢神経に浸潤すると、頭痛・吐き気・手足の麻痺などの身体症状が現れます。中枢神経への浸潤を予防したり治療したりするには、抗がん剤を髄腔内に注入する方法が有効です。

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