「大人の急性リンパ性白血病の生存率」はどのくらいかご存知ですか?【医師監修】

「大人の急性リンパ性白血病の生存率」はどのくらいかご存知ですか?【医師監修】

大人の急性リンパ性白血病の生存率についてよくある質問

ここまで急性リンパ性白血病の病態・症状・生存率などについて解説しました。ここからは、Medical DOC監修医が生存率も含め急性リンパ性白血病についてよくある質問にお答えします。

大人の急性リンパ性白血病の予後について教えてください。

甲斐沼 孟(医師)

成人急性リンパ性白血病の予後は、年齢・初診時の白血球数・染色体異常の有無によって変わるのが特徴です。急性リンパ性白血病の寛解率・生存率は若い方ほど高く、年配の方ほど低くなります。治癒率も小児は80%もあるのに対し成人は30%~40%程度です。しかし、近年は急性白血病全体の治療法が進化し、社会復帰まで果たす方も非常に多くなっています。小児と成人で予後が異なるのは、年齢によって白血病の核型が異なるからではないかとという見解が有力です。核型とは、国際基準(ISCN)に従って記載した染色体の分析結果で、さまざまな白血病の予後因子として重要視されているものです。急性リンパ性白血病では、核型が「TEL-AML1融合遺伝子」や「高二倍体」染色体の患者さんは予後良好とわかっています。最も予後不良なPh染色体(フィラデルフィア染色体)の患者さんも、近年はTKI化学療法で90%以上の方が寛解するようになりました。化学療法の後、造血幹細胞移植をするとさらに予後が改善するのもわかってきています。

急性リンパ性白血病は進行が速いのですか?

甲斐沼 孟(医師)

急性リンパ性白血病は、非常に進行が速いのが特徴です。放置していると2ヶ月~3ヶ月で生命を脅かす状態になります。急性リンパ性白血病は早期治療を求められる病気ですが、早期治療をするには早期発見が大前提です。急性リンパ性白血病を早期に発見するためにも、年に1回は血液検査を受けるようにしましょう。自覚症状がなくても、健康診断で白血病が見つかるケースがあります。

編集部まとめ

近年は化学療法の進化によって急性リンパ性白血病の治療成績が飛躍的に向上し、成人が発症した場合の生存率も非常に高くなりました。

しかし、急性リンパ性白血病は進行が速く、放っておくとあっという間に手遅れになる病気です。早期発見のためには、定期的に血液検査を受けるようにしてください。

近年は急性リンパ性白血病の治療法も進化しています。今や不治の病ではないので、もし、診断を受けても悲観しないでください。

診断を受けたら主治医から適切な治療や指導を受け、毎日を快適に暮らせるようにしましょう。

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