「真珠腫性中耳炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「真珠腫性中耳炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

真珠腫性中耳炎の治療

真珠腫性中耳炎の主な治療法は手術で、真珠腫を除去し聴力を回復させることが目的です。

鼓室形成術(こしつけいせいじゅつ)により、真珠腫の切除とともに損傷を受けた組織の修復をおこないます。

鼓室形成術は、耳の周辺組織である乳突蜂巣を削開する方法と削開しない方法に大別されます。

乳突蜂巣を削開しない術式は、比較的軽い真珠腫性中耳炎に適している場合が多く、痛みが小さかったり術後の回復が早かったりする利点があります。

乳突蜂巣を削開する術式は、病変が広範囲にわたる場合におこないます。

手術は1回で終わることもありますが、再発の可能性を下げるために1年の期間を空けて2回実施するケースもあります。

真珠腫性中耳炎になりやすい人・予防の方法

真珠腫性中耳炎になりやすい人には、以下のような特徴があります。

耳管の機能が不十分である

鼻をすする癖がある

中耳炎を繰り返している

鼓膜が穿孔している

耳管は通常は閉じていますが、機能が不十分であると十分に閉じることが難しくなり、
中耳内が陰圧となって真珠腫の発生につながります。

鼻をすすることでも中耳内は陰圧化するため、同じ現象が起きます。

中耳炎を繰り返したり外傷によって鼓膜が穿孔したりする場合でも真珠腫ができやすくなります。

中耳炎が慢性化している人は継続的に耳鼻咽喉科を受診し、治療することが、真珠腫性中耳炎の予防につながります。

耳漏や耳の違和感、聞こえにくさなどの症状がある場合も、早めに受診するのがおすすめです。

鼻をすする癖がある人は鼻水をティッシュでかむなどして、やめるようにしましょう

関連する病気急性中耳炎

慢性中耳炎

滲出性中耳炎

耳管機能不全

顔面神経麻痺髄膜炎

脳炎

参考文献

一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳科・聴覚」

厚生労働省補助事業一般社団法人日本補聴器販売店協会「補聴器を購入する前に」

湯浅涼「真珠腫性中耳炎ー基礎と臨床の接点ー」

日本耳科学会用語委員会「中耳真珠腫進展度分類2015改訂案」

奥野妙子「先天性真珠腫の診断と治療」

奥野妙子「真珠腫の診断と治療ー鼓室形成術をめぐってー」

島田士郎「耳管換気能と乳突蜂巣の関係および耳管換気能と鼓室形成術の術後経過に関する研究」

ヤマカワ詩央山形梨里子福山唯太他「めまいで救急外来を受診した真珠腫性中耳炎が進展し髄膜炎をきたした1例」

中山書店香取幸夫日高浩史「あたらしい耳鼻咽喉科・頭頸部外科学」

森田由香「中耳真珠腫の進展度分類と手術基本手技」

小林俊光八木沼裕司末武光子他「鼻すすり・閉鎖不全耳管と耳疾患」

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