唾石症の治療
唾石症の治療では唾石のサイズや大きさ、位置によって経過観察により自然排出を待つ場合もあれば、手術が必要となる場合もあります。
手術には口腔内を切開する口内法や皮膚切開を必要とする外切開法があり、内視鏡を併用した治療が行われる場合もあります。
手術方法は、唾石のある部位や位置、大きさ、数などの情報をもとに検討します。
また急性化膿性唾液腺炎を合併している場合には、ペニシリンや第一世代セフェム系抗菌薬の投与が行われ、CT検査やMRI検査で膿の貯留が判明した場合には切開による排膿が行われる場合があります。
保存的治療
症状が軽度もしくは無症状である場合には保存的治療が選択されます。
保存的治療では、唾液腺マッサージの指導や唾液の分泌を増やす薬を服用することによって自然排出を促します。
保存的治療で排出されない場合は、手術による摘出が検討されます。
口内法 / 内視鏡補助下口内法
口内法は口の中を切開して唾石を取り出す手術です。
手術時間が短く、局所麻酔で手術可能であるため、身体に与える負担が小さいことが特徴です。
口内法による手術は、唾石が導管内にある場合や、触れることができる単発性の腺体移行部(唾液腺と導管の移行部)が対象です。
また唾石が5mm以下では、耳下腺・顎下腺ともに内視鏡による治療が可能です。
耳下腺では導管内に唾石がある場合が対象で、内視鏡の鉗子や、レーザーを当てることで唾石を砕いて摘出する方法や、カテーテルで唾石を絡め取り腺管移行部までけん引して摘出する方法が行われます。
顎下腺の内視鏡治療では、腺管移行部までの唾石が対象です。
内視鏡でけん引した唾石を、触診や内視鏡のガイド光の情報をもとに口腔底(舌の下の柔らかい部分)を切開して唾石を摘出する内視鏡補助下唾石摘出術が行われます。
外切開法
外切開法は、頸部の皮膚を切開して唾石を摘出する手術です。
耳下腺と顎下腺では手術内容が異なります。
耳下腺ではサイズが大きいものや内視鏡で到達できないほど深い位置にある場合が対象であり、顎下腺では唾石を顎下腺ごと摘出することにより治療します。
顎下腺内に唾石ができた場合や、導管が細く内視鏡が唾石まで到達できない場合は、顎下腺摘出術が行われます。
外切開法の術後の合併症として、顔面神経を傷つけられることで下唇の麻痺が現れる場合があります。
唾石症になりやすい人・予防の方法
唾石症になりやすい人の特徴は特にありません。
合併症である急性化膿性唾液腺炎は口の中の免疫が低下しやすい口腔乾燥症(ドライマウス)の人でリスクが高まることが報告されており、口腔内の清潔保持や唾液の分泌が重要です。
丁寧な歯磨き習慣や、ガムを噛んで唾液を出すことを心がけましょう。
関連する病気
急性化膿性唾液腺炎
口腔乾燥症(ドライマウス)
参考文献
唾石の画像所見と臨床
日本口腔外科学会唾液腺の疾患
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「唾石症の診断と治療」
日本口腔・咽頭科学会「顎下腺唾石の形態学的観察」
唾液腺疾患の診断と治療
耳鼻咽喉科臨床学会 「急性化膿性唾液腺炎の4症例」
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「内視鏡を用いた唾石治療」
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「当科における顎下腺唾石症例の治療法の選択」
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳下腺唾石の治療方針」
配信: Medical DOC
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