5、住宅ローンのある人が自己破産する前に検討すべき3つのこと
前記のように、住宅ローンを組んで住宅を購入した方が自己破産をすると、住宅を手放さざるを得なくなります。
しかし、住み慣れた家を手放すのは精神的にも辛いでしょうし、引っ越しをして新たな生活を始めるのに費用もかかります。
そこで、自己破産をする前に、家を手放さなくてよいように検討すべきことがあります。
(1)金融機関と交渉(相談)する
住宅ローンの支払いが厳しくなってきた場合は、支払いについてまず金融機関に相談した方がよいといえます。
相談しないまま支払いが遅れたり滞納が続いたりする前に相談することが重要です。
相談をして必ずしも希望通りになるとは限りませんが、1カ月当たりの返済額を減らすこと等(これをリスケ(リスケジュールの略)といいます)に同意してもらえる可能性もあります。
ですから、まず、金融機関に相談してみる必要があります。
(2)債務整理を検討する
住宅ローン以外にも債務があるために、住宅ローンの支払いが厳しくなっている場合は、住宅ローン以外の債務について、弁護士等に債務整理の依頼をする、というのも一つの方法です。
それによって、住宅ローンの支払いを継続できるのであれば、家を手放さなくてよくなります。
住宅ローン以外の債務について債務整理を行いつつ、住宅ローン自体についても、金融機関に対して月々の支払額変更(リスケ)の相談をする、という方法を採るのもよいでしょう。
(3)民事再生(個人再生)の検討をする
金融機関に対する住宅ローンのリスケの相談や、住宅ローン以外の借金の債務整理をする方法によっても、その後の支払い継続が困難である場合は、自己破産を検討せざるを得ません。
しかし、住宅ローンを支払中の方が自己破産をしてしまうと、家を手放さざるを得なくなってしまいます。
そこで、裁判所の管理の下、住宅ローンだけはこれまでどおり支払いを継続しつつ、他の借金については大幅に減額(圧縮)をする方法があります。それが民事再生(個人再生)です。
住宅ローンを抱えた方が自己破産をせざるを得ない状態になってしまったけれども、家を手放したくないという場合は、民事再生(個人再生)の手続きを採ることを検討されるとよいでしょう。
個人再生について、詳しくは「個人再生のデメリットは?手続きや費用についても徹底解説」をご参照ください。
まとめ
マイホームは、生活や人生の中で大きな位置を占めるものです。
住宅ローンを組んで念願のマイホームを手に入れたのに自己破産せざるを得なくなったとか、過去に自己破産をしたせいで住宅ローンが組めないという事態はできれば避けたいものです。
ただ、そのような状況においても、きちんとした知識を持って行動することで、事態を好転させることが可能です。知識不足のまま行動すれば、より不利益を被ってしまいます。
今はネット上で様々な情報を手に入れることができます。それ自体は良いことですが、残念なことに誤った情報も多いのも事実です。
自己破産という辛い場面に直面したからこそ、事態をそれ以上悪化させないためにも、ネット上の情報だけでなく、弁護士等の専門家のアドバイスも受けながら、慎重に、かつ的確に判断して行動することが求められるといえるでしょう。
「自己破産」に関する詳細はこちらの記事をご参照ください。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
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また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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