低気圧・台風の気圧の低さと大雨や暴風との関係を解説

気圧の低さと暴風の関係

一般的に、気圧が低いほど暴風が吹きやすい特徴があります。

ただし、厳密には気圧が低いほど風が強まるのではなく、気圧が下がって周囲との気圧差が大きくなるほど暴風が吹きます。

風は、気圧の高い方から低い方に向かって吹く性質があります。その勢いは、気圧の差が大きいほど強くなります。

上の画像だとAよりBの方が気圧差が大きいため、Bの方が風が強く吹きます。

以下は、2024年8月に九州に上陸した台風10号が記載されている天気図です。


引用;気象庁「天気図

8月26日15時の時点で台風10号の気圧は980hPaとなっています。


引用;気象庁「天気図

次に8月29日6時の天気図では、台風10号の気圧は935hPaに下がっています。

台風の大きさはさほど変わりがないのに対し、中心の気圧だけ大幅に下がっていることがわかります。つまり、周辺との気圧差が大きくなり中心付近の風が強まったというわけです。

ちなみに、低気圧や台風の発達とは、中心付近の気圧がどんどん低下し、風が強まっている状態をいいます。そのため、低気圧や台風の発達の具合を表すために気圧がよく使われるのです。

過去の台風における上陸時の中心気圧

以下の表をご覧ください。

1951年~2023年第17号までにおける、日本列島上陸時(直前)の中心気圧が低い台風のランキングです。


引用;気象庁「中心気圧が低い台風

上陸時の中心気圧が最も低かったのは、1961年に高知県室戸岬に上陸した第二室戸台風と呼ばれる台風で、925hPaでした。このときの室戸岬の最大瞬間風速は84.5mで、歴代全国ランキング3位の強さとなっています。

また、929hPaで和歌山県潮岬に上陸した台風は伊勢湾台風と呼ばれ、紀伊半島や伊勢湾沿岸では、高潮・暴風によって甚大な被害を受けました。

なお、2024年の8月に発生した台風10号は中心気圧935hPaのまま鹿児島付近に接近しましたが、仮にこの中心気圧のまま上陸していれば過去4番目になるところでした。また、猛烈な風や高波、高潮による被害が予想されたことから、鹿児島県には暴風・波浪・高潮の特別警報も発表されました。

このように、気圧の低さと台風・低気圧の強さには深い関係があります。

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