スキルス胃がんは早期発見が難しいうえ、進行の早いがんです。ステージ4まで進行すると、完治が難しいとされています。ステージ4と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。
また、スキルス胃がんと胃がんの違いは何なのでしょうか?
本記事ではスキルス胃がんがステージ4まで進行した場合について、以下の点を中心にご紹介します。
・スキルス胃がんと胃がんの違い
・スキルス胃がんがステージ4と診断されたとき
・スキルス胃がんの治療方法
スキルス胃がんがステージ4まで進行した場合について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
胃がんとスキルス胃がんの違い
スキルス胃がんは、ギリシャ語のskirrhos(硬い腫瘍)という言葉に由来します。胃の壁が硬く、厚くなるタイプのがんです。
スキルス胃がんは胃がんの約10%を占めます。胃壁の内部に沿って広がるため、早期発見が困難といわれています。内視鏡検査でも見つけにくく、発見時に既に進行しているケースが多いようです。
一方、胃がんは胃の粘膜表面に発生し、内視鏡検査で早期に発見しやすいとされています。
また、スキルス胃がんは進行が速く、腹膜やリンパ節への転移が頻繁に見られるため、治癒切除が困難なケースが多いことも特徴です。
ステージ4(末期)のスキルス胃がんは完治が難しい理由
スキルス胃がんがステージ4(末期)まで進行している場合、完治は難しいとされています。その理由を以下で解説します。
腹膜播種(ふくまくはしゅ)という特徴
腹膜播種とは、細胞が腹腔内にばら撒かれるように広がる状態を指します。スキルス胃がんは腹膜播種が起こりやすく、胃の粘膜には腫瘍が広がらない一方で胃壁の外側に進行します。
腹膜播種が生じたスキルス胃がんは、手術での除去が難しいとされています。腫瘍が胃壁から露出し、腹腔内にがん細胞が飛び火してしまうためです。
病状の進行を抑えるためにさまざまな治療法が駆使されていますが、確実な治療法はまだ確立されていません。
リンパ節転移個数が多い
スキルス胃がんは腹膜播種が起こるだけでなく、リンパ節に転移する傾向にあります。
リンパ節転移個数が多い場合、手術後の再発率が高くなるとされています。そのため、術後の病理検査でリンパ節転移個数が多いと判明した場合、再発予防のために抗がん剤投与が行われます。これを術後補助化学療法といいます。
しかし、手術前の抗がん剤治療は効果が限定的であり、治療成績の改善は困難とされています。
配信: Medical DOC