「ボール遊び禁止」「花火禁止」「自転車禁止」。私たちが子どもだった頃と比べると、全国の公園では “禁止事項”が増え、子どもの遊び場としてはやや窮屈な場所になりつつあります。そんな中、杉並区は7月から試行している「新しい公園のルール」が注目を集めています。
例えばこれまでは区に申請した場合を除き全面禁止だった花火も、手持ち花火なら申請なしで行えるようになるなど、多くの禁止事項が緩和されました。新しいルールの試行に込められた思いや願いについて、杉並区こうえん課の大場将国さんにお話を聞きました。
SNSを中心に「新しい公園のルール」が急速に広まった
――これまでと大きく内容を変えた「新しい公園のルール」ですが、施行にあたって工夫されたことはありますか?
大場将国さん(以下、大場)「ルールが変わる際には、利用者にきちんと伝えることが重要です。どうしたら新しいルールが伝わるかを考え、広報やホームページなどで告知をしました。
ただ、公園利用者の方に『どうやって公園のルールを知りますか?』とアンケートを取ったところ、現場(公園)で知るという回答が9割くらいだったんです。公園のルールは公園で知る。まずは公園にルールを貼るのが一番認知されるということで、各公園にルールを掲示しました。
あわせて、ホームページやSNSでも利用者に伝わるようにルールの告知をしました。SNSで発信したことで、リポストで多くの方に読んでいただけました。区内在住の著名な方がつぶやいてくださったことで、SNSを中心に内容が急速に広まりました。その結果、メディアでも『新しい公園のルール』が取り上げられて、区民の方に広く知っていただく良い循環が生まれました」
“自分と異なる立場の人”について考えるきっかけに
――「新しい公園のルール」を作るうえで大事にされた思いはありますか?
大場「子どもの居場所として、利用しやすい公園にしたいという思いが強くありました。
それと同時に、この新しいルールをきっかけに、利用者の皆さんに『なぜ今まで公園に禁止事項が多かったのか』『やりたいことがなぜできなかったのか』ということを考えていただきたいという思いがあります。
区のホームページでは、公園利用者から届いた声も紹介しています。これらの声を見ていただくことで、利用者や近隣の方はどう感じているのかを、さまざまな立場から考える機会になるかと思います。花火やボール遊びも、『ルールでOKになったから自由に楽しんでいい』ではなく、『花火はできるけれど、周囲に住宅があるから、少し気をつけて楽しもう』という譲り合いの気持ちを持っていただきたいです。
逆に、公園の近隣にお住まいの方にとっては、子どもの声がうるさく感じられるかもしれません。でも、それだけ子どもの遊ぶ場所がなくなってきている、という現実にも気づいていただきたいです。『公園を利用する際は譲り合いましょう』という言葉を耳にしたことがあると思います。でも、実際にこの言葉の意味を深く考える機会というのはなかなかないので、新しい公園のルールの試行を機に考えていただければと思います」
配信: 女子SPA!