「胃食道逆流症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「胃食道逆流症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

胃食道逆流症の概要

胃食道逆流症とは胃酸が食道へ逆流することにより、食道の粘膜がただれる病気です。中高年や高齢者に多くみられます。

胃食道逆流症の原因は食道と胃の機能・構造異常や、腹圧の上昇などの生活要因が挙げられます。
胃酸逆流に伴う自覚症状の有無と内視鏡検査による食道の炎症を認めた場合に診断されます。

主な症状として、胸焼け、口やのどの奥に酸っぱい液体が上がってくる感じなどが現れます。
これらの症状は食後2〜3時間までに起こることが多く、症状がみられた場合には胃酸が逆流している可能性があります。

薬物療法と生活習慣の改善が治療の基本となりますが、内服薬での改善がみられない場合や食道裂肛(しょくどうれっこう)ヘルニアを伴う場合には、手術の適応となる場合もあります。

胃食道逆流症の有病率は近年増加傾向にあり、10%前後と報告されています。

治療を受けなかった場合は、症状が慢性的に続くことで生活の質に影響を及ぼす可能性があります。
命の危険に関わるような病気ではありませんが、治療により症状は解消するため、不快な症状が続く場合は早めに受診しましょう。

胃食道逆流症の原因

胃食道逆流症は胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜が傷つくことが原因でおこります。

胃の壁は胃酸が直接触れないように粘液などで守られているため、胃酸によって胃が傷つくことはありません。しかし食道は胃酸から身を守る機能が弱いので、胃酸に長く触れると炎症をおこしてしまいます。

胃酸が逆流する原因としては、以下が挙げられます。

噴門部の筋肉の緩み

通常は胃と食道のつなぎ目である噴門部が閉じた状態であり、胃の内容物の逆流を防いでいます。

噴門部には下部食道括約筋という筋肉があり、食道から胃へ食べ物が通過するときは、入口を緩めて食道から胃に食べ物が落ちます。
食べものを飲み込んだ後は下部食道括約筋が締まり、胃の内容物が食道に逆流しないようにしています。この筋肉が緩むと、胃から食道への内容物の逆流がおこるようになります。

食道裂肛ヘルニア

食道裂肛(しょくどうれっこう)ヘルニアとは、横隔膜の下にあるべき胃の一部が食道の方へはみ出してしまう病気です。
食道裂孔ヘルニアがあると、食道と胃のつなぎ目の締まりが悪くなり、胃酸が食道に逆流しやすくなります。

蠕動運動の異常

健康な人でも食後は胃酸が逆流することはありますが、逆流した胃酸は食道の蠕動運動(食べものや飲み物が肛門側へと押し出されるはたらき)によりすぐに胃に戻されます。

蠕動運動に問題が生じている場合、胃酸が食道に長く留まってしまうことがあります。

腹圧の上昇

お腹に圧力がかかりやすくなると、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。腹圧が上がる原因は、食べすぎや肥満でお腹が押される、お腹に力をいれる、前かがみの姿勢をとるなどが挙げられます。

胃酸の分泌が増える

アルコールやコーヒー、脂肪が多い食事は胃酸の分泌が亢進すると考えられています。これらを摂取する際は、空腹時ではなく食間や食後に摂るなどの工夫が必要です。

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