3、夫から子供の障害を理由とした離婚を切り出されたときの相談窓口
夫から子供の障害を理由とした離婚を切り出された場合、母親が頼るべき相談窓口は次のとおりです。
(1)児童相談所、子育て支援センター
児童相談所や子育て支援センターは、各自治体に設置された18歳未満の子どものあらゆる問題について相談に応じる機関です。
地域住民からの相談に応じ、子供やその保護者に最適な援助や指導を行います。
(2)夫婦カウンセラー
企業や自治体のカウンセリングルームで、夫婦の関係改善を専門に支援するスペシャリストが夫婦カウンセラーです。
離婚の基礎知識や離婚に関する法律の知識を有し、夫婦間のプライベートな問題に対応します。
(3)弁護士
離婚でよく耳にする「離婚調停」ですが、この調停、実は離婚の場合のみならず夫婦仲を円満に戻したい場合にも利用されます(俗にいう「円満調停」)。
子どものことで夫婦がお互いに本気で悩むとき、第三者の介入により、お互いに冷静に、客観的に状況を把握することはとても大切です。
弁護士であれば、夫の揺れる気持ちにも寄り添うことができ、また、妻の辛い気持ちにも寄り添うことができます。
夫から離婚を迫れている場合は、真っ先に弁護士に相談されることをおすすめします。
法律事務所によっては、初回に限り無料で離婚相談に対応してくれるところもあります。
4、障害児を持つ夫婦が離婚を回避するためには
障害児がいることを理由とした離婚は、離婚に至るまでの手続きのみならず、その後の生活にも大きな負担がかかります。
望まない離婚を回避するためにも、次のような夫婦間での具体的な行動が必要です。
(1)父親に障害児を育てることについて理解を促す
障害を持つ子供を育てるためには、父親の理解と具体的なサポートが必要不可欠です。
自分の子供である以上、障害児の子育てを他人事として受けとめることがあってはなりません。
妻から夫に理解を促すことが難しいのであれば、児童相談所や夫婦カウンセラーの力を借りたり、他の障害児家族と家族ぐるみの付き合いをしたりするなど、試行錯誤しながら伝える努力をしてみてはいかがでしょうか。
(2)夫婦で一緒に育てていく意識を持つ
わが国ではいまだに「子育ては母親の仕事」という意識が根強いため、母親自身も「子育ての責任はすべて自分にある」と思い込んでしまうケースも少なくありません。
母親は父親に理解を促し、父親は子供に対して具体的なサポートをする。
夫婦の協力体制がしっかりと取れているかどうかいま一度振り返り、お互いの育児の負担を少しずつ解消してきましょう。
(3)親族のサポートを受ける
夫婦だけで障害を抱える子供を育てていくことは大きな負担であり、どちらか一方が怪我や病気になった場合など、どうにもできない状況に陥ることがあります。
そのような場合にこそ、夫婦の両親や親戚など親族のサポートが必要不可欠です。
親族が近隣に住んでいるのであれば、短期間でも同居して家事・育児を手伝ったり、子供を預かってもらったりして夫婦の負担を少しでも軽くすると良いでしょう。
(4)障害児を支援する制度を利用する
公的な障害児の支援制度を利用すれば、子育ての負担を軽くすることができます。
具体的には「障害基礎年金」や「障害者手当」など年金や手当を受けられる制度や、障害者を対象とする税金の控除、公営住宅の優先入居などが挙げられます。
(5)障害児施設を利用する
障害のある子供に対してサービスを提供する障害児施設を利用することで、通所または入所による支援が受けられます。
施設では子供の養育に限らず、障害の度合いに合わせて社会的なトレーニングも実施されます。
障害児通所支援については市区町村の窓口に、障害児入所支援については地域の児童相談所に相談しましょう。
配信: LEGAL MALL