「弱者は死ね」コロナ後遺症マンガ作者に誹謗中傷も。『水ダウ』コロナ対策いじり企画に“ただただ悲しく思う”理由とは

「弱者は死ね」コロナ後遺症マンガ作者に誹謗中傷も。『水ダウ』コロナ対策いじり企画に“ただただ悲しく思う”理由とは

新型コロナウイルス感染後、夫と一緒に筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(略称ME/CFS)を罹患したえぞいちごさん。

日常生活を送るのに支障をきたすほどの全身にわたる倦怠感とさまざまな症状に悩まされ続け、その闘病記を漫画にしてSNSに投稿しています。

投稿に対してポジティブな反応もある一方で、誹謗中傷が後を絶ちません。それでも闘い続けるえぞいちごさんに、漫画に対するネガティブな反応、新型コロナウイルスを取り巻く現状について聞きました。
























誹謗中傷との戦い

――マンガを投稿することでポジティブな反響がある一方で誹謗中傷もあります。

「時間が経つごとに内容は変化していますが、誹謗中傷は私がTwitter(現X)を始めた2020年当初からあり、病気と闘うと同時に、誹謗中傷とも闘い続けてきました。誹謗中傷の内容は基本的には、後遺症や新型コロナウイルス感染症への無理解から生じたものがメインで、時間経過によって、誹謗中傷の内容も多少変わってきています。

私たちはワクチンが開発されていない時期に感染した患者で、その後もME/CFS患者としてリスクがあることから、新型コロナワクチンを一度も接種していません。

それにも関わらず『コロナ後遺症じゃなくてワクチン後遺症だ』と決めつけるコメントが後を絶たたず、『ワクチン後遺症じゃないコロナ後遺症患者は声を上げるな。人としておかしい』といった理屈を伴わないものもありました。

最近では『弱者は死ね』『年寄りでも子どもでもコロナで死ぬのは寿命、運命だ』『自然の摂理だ』といった、弱者排除の考えにもとづいたコメントが多い印象です。

コロナ禍初期は、一般人のみならず医療従事者、地方議員、弁護士などからも後遺症は存在しないという認識にもとづくコメントが寄せられ、集団による誹謗中傷を受けました。

対策として、後遺症患者のコミュニティ内で警戒すべき情報を交換したり、誹謗中傷を行うアカウントをブロックしたりしました。

今は、医療従事者には徐々に後遺症に対する理解が広まってきていることもあり、初期と比べると誹謗中傷はだいぶ下火になっています。しかし、何かの拍子に投稿がバズると、誹謗中傷が急激に増えるので疲弊します。

鍵アカウントにすることも検討しましたが、情報を必要とする人のところに届かなくなってしまうため、今は公開しています」(えぞいちごさん 以下カギカッコ同じ)

後遺症を語れなかった

――新型コロナウイルスやその後遺症についての報道が少ない現状について、どのようにお考えですか。

「後遺症について語ることがタブーとされていた期間が非常に長かったと思います。

Twitter上での後遺症の存在否定の誹謗中傷だけでなく、その他に私自身の経験したことですが、ニュースサイトのコメントに『後遺症を診てくれる病院がない』と書いたら、それ以降書き込みができなくなりました。

患者さんの中には、Xで後遺症についての投稿をしたところ、アカウントをバンされたケースもありました。こういったことから思うに、後遺症を話題に扱ったり、表立って意見したりすることが阻まれていたのではと感じています。

私たち後遺症患者は、長い間、見えていない幽霊のような扱いでしたね。

また、後遺症を扱うことに消極的な報道姿勢には疑問を覚えます。感染対策と経済活動が対立すると一部では考えられているためだと思いますが、相反するものではないと私は考えます。

新型コロナウイルス感染症及び後遺症に関する事実をきちんと認識・把握・周知し、その上で感染対策をして、後遺症になって働けなくなったり、パフォーマンスが落ちたりする人を出来る限り減らすことは、長期的視点から言って、経済を回すことにつながるでしょう。報道関係者はその視点を持ってほしいですね」

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