日本の介護事業者の海外展開を考える② 外国人は訪問介護の仕事に興味

日本の介護事業者の海外展開を考える② 外国人は訪問介護の仕事に興味

前回に続き、今年8月頭に東京で開催された「介護事業者の海外展開」をテーマにした座談会の様子をお伝えします。

前回は、中国の最新マーケットの様子を紹介しましたが、今回はそれ以外の国について見てみましょう。

SPMPOケアの迫田室長は韓国について「土地を所有していないと事業をできないという規制がある。また、日本に比べると家族の意向が重要視される傾向がある。事業を手掛ける側としてはハードルが高いと言えるだろう」とコメントしました。

しかし、韓国は出生率が0.72と極めて低く、今後世界一の高齢社会となることが予想されています。また迫田室長によると「諸外国の現場のオペレーションなどを見ると『個別ケア』『自立支援介護』については、まだノウハウが十分ではないと感じる」といい、こうした分野では日本企業が進出していくメリットがあるとのことです。

介護事業者の海外展開といえば、海外で介護事業所を運営する以外にも、海外の人材を日本で受け入れるための拠点を設けるというものもあります。

ツクイでは2022年にベトナムのホーチミンに現地法人を設立し、毎年20名を技能実習生として受け入れる体制の構築を目指しています。このほか、インドやスリランカなどにもビジネス対象を拡大しています。

先日、外国人介護人材が訪問介護事業でも就労できるようにする方針を国が示しました。

これについてツクイの佐藤部長は「実際に現場で働く外国人に聞くと『訪問介護をやりたい』という声は多い。施設系・通所系介護サービスに比べて、母国に帰った後に知識や技術が活かしやすいからではないか」とコメントします。

今後、外国人が訪問介護で働けるようになれば、日本での就労を希望する人が増えてくることが期待できるのではないでしょうか。

このほか、今後海外展開をする上での留意点として、登壇者からは次のようなアドバイスがありました。

「国によってアプローチの仕方は違うことを把握すべき。特に介護は生活に密着するサービスなので、その国の文化や習慣、考え方などを理解する必要がある。その上で『いかに自分たちの付加価値を提供できるか』を考えながら、その国に合った形でのローカル化が求められる」(SOMPOケア迫田室長)

「そこの国をしっかり知ること。当社ではまず施設を作り、そこから介護に関するニーズを吸い上げていった。また、国の補助制度などはいつ変更になるかわからない。そこに依存し過ぎることはリスクにつながる」(メディカル・ケア・サービス王取締役)

介護の三ツ星コンシェルジュ

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