●退職金も払わなくてよい?
なお、トラック運転手が会社から解雇された場合に、退職金がある場合でも、退職金不支給とすることが許されるのか、別途問題となります。
この点については、鉄道会社の職員が痴漢で懲戒解雇されたケースが参考になります。このケースでは、この職員はそれまでにも何度か、就業先とは別の会社の鉄道内で乗客に痴漢をして、警察に捕まったり、会社から懲戒(解雇ではない懲戒)をされていました。
しかし、最終的にまた電車内で痴漢をしてしまい、懲戒解雇された上に、退職金を不支給とされました。
このケースでは、懲戒解雇の有効性と、退職金の不支給の有効性が争われたのですが、裁判所は、懲戒解雇は有効だが、退職金をゼロにすることはできない(3割は払いなさい)としました(東京高判平成15年12月11日)。
なお、このケースでも、第一審(東京地判平成14年11月15日)では、退職金をゼロにすることもできるとしました。第一審(地裁)と控訴審(高裁)で判断が違うのです。
本件でも、仮に退職金の不支給などがあった場合、その有効性は、トラック運転手がこれまでどの程度会社に貢献してきたのか、といった点なども考慮しながら判断されることになります。
配信: 弁護士ドットコム