インド洋ダイポールモード現象とは?ラニーニャ現象との同時発生で猛暑が起きる仕組みを解説


日本や世界の気候に影響を与える現象に、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象があります。

これらは太平洋の海水温分布が例年と異なることによって、低気圧や高気圧の発生場所が変わり、異常気象をもたらすものです。

同様の現象はインド洋においてもみられ、「インド洋ダイポールモード現象」と呼ばれています。

ダイポールモード現象も日本や世界の気候に影響を与える現象であり、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象と相互作用する場合もあります。特にラニーニャ現象と、正のダイポールモード現象が同時発生すると、日本では夏や秋の気温がより高くなるとされています。

この記事では、インド洋ダイポールモード現象の概要やラニーニャ現象が同時発生することで猛暑が起きる仕組みについて解説します。

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インド洋ダイポールモード現象とは

インド洋ダイポールモード現象(IOD現象)は海洋変動の一種であり、「正のインド洋ダイポールモード現象」と「負のインド洋ダイポールモード現象」の2パターンあります。

正のダイポールモード現象は、インド洋熱帯域の海面水温が南東部では平常より低く、西部では平常より高くなる現象です。


引用:気象庁「正のインド洋ダイポールモード現象が発生した8~10月の海面水温と大気下層の循環パターン(平年からの差)

反対に、負のダイポールモード現象は、インド洋熱帯域の海面水温が南東部では平常より高く、西部では平常より低くなります。

どちらも夏から秋にかけて(6月~11月頃)発生するのが一般的です。2000年以降は、正のインド洋ダイポールモード現象が8回、負のインド洋ダイポールモード現象は6回発生しています。

インド洋ダイポールモード現象と日本の気候との関係

正のインド洋ダイポールモード現象は、日本の夏や秋に高温をもたらす原因の一つであると考えられています。一方、負のインド洋ダイポールモード現象に関しては、現在のところ日本の天候への影響ははっきりしていません。

正のインド洋ダイポールモード現象が発生すると、日本の夏や秋はチベット高気圧という上空の高気圧が日本に張り出しやすく高温になる傾向にあります。

インド洋熱帯域南東部の海水温が低くなるため、このエリアでは積乱雲が発達しにくくなります。それに対応する形で、北太平洋西部では積乱雲が発達しやすくなります。この影響でチベット高気圧と呼ばれる上空の高気圧を日本付近に押し上げ、日本に高温をもたらすのです。

また、日本の上空に吹いている偏西風と呼ばれる風が暖められ、日本に高温をもたらすとも考えられています。

インド付近で発達した積乱雲の影響により、ヨーロッパにある地中海ではインド付近の積乱雲から流れてきた下降流と呼ばれる下向きの風が吹きます。

この下降流は、地中海を高温化させて、さらには偏西風が吹いている上空の気温も上昇させます。地中海は偏西風の上流に位置するため、暖められた偏西風が日本にやってきて気温を高めるというメカニズムです。


引用:気象庁「正のピュアIOD現象が日本の天候に影響を及ぼすメカニズムの模式図(盛夏期から初秋にかけて)

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