受刑者「正直きつい」 10月からの郵便料金値上げ、塀の中から悲鳴の声 物価高も追い打ち

受刑者「正直きつい」 10月からの郵便料金値上げ、塀の中から悲鳴の声 物価高も追い打ち

●30代の受刑者、作業報奨金は月2000円

「何もかもが物価高騰で値上がりしているこの状況で、郵便料金が値上がりしてしまうのも仕方ないのかなと私はそう受け止めるように心掛けてはいますが、定形郵便物の郵便料金が84円→110円へと一気に上がったのは正直きついですね」

九州地方の刑務所で服役する30代の男性受刑者がそう吐露するのには金銭的な事情がある。

受刑者は日々の刑務作業によって「作業報奨金」を得られるが、その額は社会とは比較にならないほど低い。

作業の内容や上げた成果などによって変わり、1時間あたり7円〜56円ほどだ。法務省によると、作業報奨金の1人1カ月あたりの平均支給計算額は、2022年度は約4537円だったという。

郵便料金と比較すると、値上げ分の報奨金を得るために約4時間分の作業が必要になる受刑者もいるとみられる。

この男性受刑者は現在、「6等工」という上から6番目の基準にいるといい、1日約7時間の作業で月2000円前後の報奨金を得ている。

●家族と疎遠に、値上げは「かなりの出費で痛手」

ただ、刑務所に入った時に持っていたわずかなお金はすでになくなった。唯一連絡が取れていた姉から手紙の返信が来なくなり、知人らもいないため、外部からの金銭の差し入れも期待できない状況だ。

男性は他の受刑者を代弁するように塀の中の状況を次のように説明する。

「物価高騰で刑務所内でも日用品等が値上がりしている中で、社会との唯一の連絡手段である切手の料金が上がるのは、かなりの出費であり痛手です」

「今回、郵便料金が上がったことで刑務所内では社会へ手紙を出す受刑者の人達の数が減ったりする等の影響が出るんじゃないかなと私は考えています」

関連記事: