まずはシミの種類を知ることから。季節の変わり目から始めるシミ対策について美容皮膚科院長髙澤先生にお伺いしました。

まずはシミの種類を知ることから。季節の変わり目から始めるシミ対策について美容皮膚科院長髙澤先生にお伺いしました。

夏が終わりに近づき、紫外線の勢いが少し弱まってきた感じがしてくるいま、シミ治療が気になっている方もいるのではないでしょうか?

そもそも、シミって種類があるのをご存知ですか?

今回はプライム銀座クリニック 院長の髙澤博和さまに、5種類のシミの特徴についてお話を伺いました。

クリニックでできるシミ治療のキホン

クリニックでシミの治療をおこなう場合、主な治療方法は光治療とレーザー治療の2種類となります。

数あるシミ治療の中から、IPL(フォトセラピー)とQスイッチレーザーをまず知っておきましょう。

IPL(フォトセラピー)は治療後にテープ保護などが不要な治療で通常は顔全体に行います。

Qスイッチレーザーはシミごとにスポットで照射するものです。

治療後にテープ保護が原則必要ですが、すこし薄いしみにも効果的です。

え、シミって種類によって治療方法が違うの?まずは5種類あるシミの診断が重要!

まずは5種類あるシミの診断をします。

自己診断は難しいことも多いので、医師の診察で聞いてみましょう。

ちなみに、夏の紫外線で濃くなりやすいシミは3種類あって、なんとそのうち2種類の治療は結構ワンパターンの単純な治療方針なので、美容初心者の方でも取り組みやすいと思います。

1:雀卵斑(そばかす) 

表皮の色素異常です。

明確な遺伝ではないですが、家系的に多いなどのパターンがあります。

学童期に出てくることが多くて、両ほほから鼻すじをまたぐような範囲に数mmくらいの茶褐色のしみが現れることが多いです。

一般に思春期に目立つことが多く、妊娠時に悪化したり、老年期に自然に消えたりするため、ホルモンとの関係があるといわれます。

IPLがよく効くため、肝斑がなければ治療をためらう必要はないと思います。ただし治療後も再発はあるので、適宜治療を加えていく必要があります。

2:SK(老人性色素斑)

表皮の良性の増殖症です。

顔中の紫外線が当たりやすいところにはどこでもできやすいです。

いろんな形や色の濃さがあって、出方も左右もバラバラです。

紫外線を受けると濃くなるように見えるため、夏~秋ごろに気になる方が多いです。

このシミは薄く広がるときに老人性色素斑といわれますが、、厚く膨らみを作るようになると脂漏性角化症といわれます。

IPLで除去できるときもあれば、メラニンが少ないときには完全に除去できなくて、Qスイッチレーザーを使うこともあります。

また、厚みがしっかりしている場合にはCO2レーザーなどで焼き切るように除去することもあります。

こちらも再発または紫外線により新しくできてくることが多いです。

3:ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

真皮内のメラニン産生細胞の増殖です。

パターンはいろいろありますが、典型的にはほほ骨の出っ張ったところを中心に小さい斑点のように現れます。

色調が雀卵斑やSKよりやや灰色がかっています。

多くは20歳以降に出てきて、時間が経っても大きな変化がないというのが特徴です。

IPLには基本的に反応しませんが、Qスイッチルビーレーザー等で適切に治療できれば基本的に再発はありません。

4:肝斑

慢性的な炎症(刺激)による皮膚バリアの破壊と色素沈着が、肝斑の病態であるといわれます。

典型的には16歳以上の女性(男性例は少な目)で、ほほ骨の出っ張ったところを中心に、褐色でべたっと広がる(一部網目状のこともある)ように起こります。

完全ではない程度の左右対称性があります。

生え際や眉毛の周辺を避けるようにして起こります。

悪化したり自然に改善したり変化があるのが特徴です。

細かいことをいうと、アトピー性皮膚炎や炎症が長引いたニキビによって色素沈着が起きてしまうことも、肝斑と同様の病態です。

治療は、摩擦を減らすことを含めて普段のスキンケアを徹底的に見直して、肌への刺激を減らすことです。

それに加えてトラネキサム酸の内服は、一定の治療効果が見込めます。

レーザートーニングは一時的な改善の効果がある場合もありますが、原因となるスキンケアが改善されてない場合には再発はほぼ必発ですので、注意が必要です。

5:PIH(炎症後色素沈着)

外傷ややけどなどが治癒した後に皮膚の色素沈着がおこることがあります。

Qスイッチレーザーのシミ取りの後に起こる「戻りシミ」もこれに当たります。

これは一時的なものと考えられるので、とにかく時間とともに薄くなるのを待つのが最善です。

「戻りシミ」に対してさらにシミ取りのレーザー治療を行うことで、より強い炎症と色素沈着が起きることがあります。

そうなると結果として「戻りシミ」の期間がさらに長引いたりする結果になりやすいため、注意が必要です。

トラネキサム酸の内服や、ハイドロキノンの外用などは一定の効果が見込めます。

シミに種類が5つもあり、それぞれ起こる原因や治療法が異なるとは驚きですね。

自分の顔にあるシミですが、複数の原因によってできていたり、判断がつかなかったりしますので、シミが気になる方は是非専門家に相談しましょう。

執筆者

髙澤 博和先生

プライム銀座クリニック院長

中国北京 領医医美クリニック院長

1979年生まれ、京都大学医学部医学科卒業。

医師免許、中国北京市医療許可証、日本美容外科学会会員。

2014年からプライム銀座クリニック院長、2018年から中国北京で領医医美クリニックの院長を兼任して日々の治療・後進の指導に当たっている。

プライム銀座クリニックのプライム(Prime)は、クリニック自体がすばらしいものであることを宣言するとともに、患者様が「the prime of life(人生最高の時)」を過ごす手伝いをするということを目標に名付けている。

嘘や誇張を用いず、ありのままの美容医療をお届けすることを企業理念とし、日々の診療に取り組んでいる。

プライム銀座クリニック

https://prime-ginza.jp/

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キレイ研究室
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「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。
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