「寒露」の時期には栄養豊富でおいしい食べ物がたくさん
「寒露」の時期の旬の食べ物の一つが、「十三夜」の解説でも登場した栗です。栗の品種や産地によっても旬を迎える時期が異なりますが、10月上旬には日本全国で栗が出回ります。ほくほくした食感が魅力の栗は、おいしいだけでなく栄養も豊富。ビタミンCや食物繊維、葉酸、カリウムなどを含むだけでなく、渋皮には抗酸化作用に優れたポリフェノールの一種、タンニンを含んでいます。皮むきは面倒ですが、旬のうちに栗ごはんや焼き栗などで食べるのがおすすめです。
寒露の魚といえば鮭です。この時期になると、鮭の主な主産地である北海道では、産卵のために生まれた川へと遡上する姿が見られます。産卵前に捕獲された身が引き締まった白鮭は「秋鮭」、北海道では「秋味(あきあじ)」と呼ばれ、最もおいしいとされています。産卵後は体が痩せ細ってしまいますが、高級食材イクラを堪能することができます。
この時期に見頃を迎えるのは菊の花。寒露の時期を表す言葉で「菊花開(きくのはなひらく)」という言葉があり、菊の花が一斉に咲き始めます。中国が原産である菊の花には昔から邪気を払い繁栄をもたらす効果があるとされており、「菊の節句」とされる旧暦9月9日の「重陽の節句(ちょうようのせっく)」では、酒の上に菊の花びらを浮かべた「菊酒」をいただきます。また、菊の花は漢方薬としても用いられ、目のかすみや不調、解毒作用、ニキビや肌荒れの効果があるともされています。
夏の暑さが落ち着き過ごしやすくなる「寒露」の時期。旬の食材を求めて出かけたり、十三夜の日にはお月見を楽しんだりなど、この時期にしかできない行楽を楽しんでくださいね。
(水浦裕美)
配信: LASISA
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