親が健康であり、経済力があれば年齢は関係ないのでは
ただ親が高齢であることのリスクとしては、体力のある子育てを乗り切れるのか、定年退職が迫る中で子どもの学費をまかなえるのか、子どもが若いうちから親の介護を担うかもしれないといった点が挙げられます。
しかし体力も経済力でカバーできれば問題ないでしょうし、教育費や老後資金を貯金できていれば問題ないはず。お金がかかる不妊治療に取り組むほどキャリア形成している40代であれば、なおさら「余計なお世話」となるのではないでしょうか。
また「子どもが若いうちから親の介護を担うかもしれない」という懸念は、介護が必要になれば施設や外注の手段もあるのに、無意識のうちに「親の介護は子どもがすべき」という考えを押し付けているといえるでしょう。
なぜ他人の出産年齢に口を出したがるのか
またXでは、高齢出産に反対する意見として「同級生から母親がおばあちゃんと間違われるのはかわいそう」、「授業参観や運動会で恥ずかしい思いをする」というポストも散見されました。
そもそも「親の見た目が若々しければ子どもは幸せ」という価値観を疑うべきですし、長い子育て生活の中でいろいろな出来事がある中で、とりわけ年に1回しかない学校行事だけを取り上げるのは、ただ単に重箱の隅(すみ)をつついているだけのように感じられます。
筆者は知人に15年近く不妊治療に取り組んだ後に、40代半ばで第1子を出産した女性がいます。彼女は待望の赤ちゃんだったこともあって「孫のように子どもを可愛く思えるのは高齢出産の特権」といつも笑っています。ただ「子どもをなかなか授かれなない苦労を知っているからこそ、他人の出産年齢に口出しするなんてもってのほか」とも。
他人の高齢出産に口を出したがる人は子どもの幸せを語っているように見せかけて、ただ一辺倒の幸せの価値観しか知らない視野の狭さと自分の価値観の押し付けをしたくてたまらないのでしょう。
子どもがかわいそうかどうかは、その子ども本人にしか結論付けられません。他人から言われなければ何も思わないかもしれないのに、「初産40代は子どもがかわいそう」という言説が広まることで当事者の子どもたちは世間からの”かわいそう“の視線に一生さらされることになりかねません。それこそが不幸ではないでしょうか?
誰も幸せにしない「女は早く子どもを産め」という社会からのプレッシャーや、「子どもがかわいそう」という無責任な価値観の押し付けは、令和の時代にそろそろなくなってほしいものです。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
配信: 女子SPA!
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