3、万が一、賭け麻雀で逮捕された場合はどうなってしまうのか?
すでに解説したように、金銭を賭けの対象とする賭け麻雀は、その金額が少額であったとしてもレートに関係なく賭博罪が成立する可能性があります。
しかし、実際には、常習性のない少額の賭け麻雀を警察が狙い撃ちをして摘発するというケースはほとんどないといえます。警察や検察は、多数の事件処理に追われており全ての事件について捜査を行うことは現実的には不可能です。
実際にも、一般人が多少の賭け麻雀をしたとしても、社会秩序を大きく損なわせる(保護法益を侵害している)とまではいえないともいえるでしょう。
とはいえ、暴力団対策などの別件で調査中の麻雀店でたまたま賭け麻雀をしていたら警察が踏み込んできたというような場合には、賭博罪として逮捕等されてしまう可能性が高いといえます。
さて、このような場合にはどうなってしまうのでしょうか?
(1)自宅に帰ることはできるのか?
賭け麻雀が摘発されるケースのほとんどは、現行犯での逮捕となります。したがって、賭け麻雀で逮捕されてしまったという場合には、「自宅にすぐに帰れるか」という点が、最初の関心事といえるでしょう。
賭け麻雀で逮捕された場合には、犯罪それ自体も軽微であると判断される場合が多いといえますので、警察での必要な取り調べが終われば証拠の隠滅や逃亡のおそれがない限りは、自宅に帰ることが許されるのが一般的といえます。
証拠の隠滅などを疑われないためには、賭け麻雀をしていたことが事実であるのであれば、嘘をつかず、素直に罪状を認めることが一番といえます。
ただし、逮捕された時間帯や警察の取り調べの都合によっては、「その日一晩は警察に留置される」ということもあるかもしれません。
なお、逮捕直後から最大72時間までの間は、被疑者は弁護士以外の他人との一切の接触ができません。したがって、「家族などへの連絡を急ぐ」という場合には、弁護人を選任する必要があります。
(2)起訴される確率は?
元検事長の賭け麻雀行為を行った件が不起訴処分で終わったように、賭け麻雀で逮捕されると必ず起訴される(刑事裁判で罪に問われる)わけではありません。
しかし、それぞれの事件について起訴すべきかどうかを判断する権限は、その事件を担当する検察官にあります。
賭け麻雀をしたことが事実である場合、不起訴処分にしてもらうためには真摯に反省している態度を検察官に理解してもらうほかありません。まずは、警察官・検察官の取り調べにきちんと協力することが、有効な方法となるでしょう。
(3)起訴されてしまった場合はどうなるか?
賭博罪の法定刑は、「50万円以下の罰金」です。したがって、常習賭博罪や賭博場開張図利罪に問われるケースを除いては、懲役刑で刑務所に収監される心配はありません。
罰金刑が問われるケースでは、略式起訴という簡易な刑事裁判手続で終わらせることも可能です。略式起訴とするためには、被告人が犯罪事実を認めていることが必要になります。また、略式起訴とするかどうかを決める権限を持っているのは検察官です。略式起訴では、被告人は罪状に異議を述べることはできませんが、賭け麻雀の案件では、罪状を争えない場合の方が多いでしょうから、被告人としても略式手続でも問題がない場合が多いといえます。ただし、罰金刑とはいえ、「前科」には該当します。
まとめ
賭け麻雀は、法律論としては犯罪(賭博罪など)に該当してしまう行為です。
実際に逮捕・摘発されるリスクは高くないとはいえ、「運が悪いタイミングで麻雀店が捜査の対象になった」ことで、いわば芋づる式に逮捕されてしまうリスクがないわけではありません。逮捕後に、起訴され罰金刑が確定してしまえば、仕事にも大きな影響が出るということも考えられますので十分に注意しましょう。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
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また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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