写真:PIXTA
政府の地震調査委員会によると、今後30年以内に約70%の確率でマグニチュード7程度の首都直下地震が発生すると予測されています。
首都直下地震が発生すると、社会における様々な機能が集中し、日本の人口の約1割が暮らす東京都では、膨大な建物被害や人的被害が発生するおそれがあります。
いつどこで発生するかわからない地震に備えるためには、事前の備えが大切です。
東京都では、地震災害において身の回りの被害想定が把握できる「東京被害想定マップ」というデジタルマップを公開しています。また、自身に合った個別の被害想定を作成できる「東京マイ・被害想定」というツールも提供しています。
この記事では、首都直下地震への備えに役立つ東京被害想定マップ・東京マイ・被害想定の活用方法を紹介します。
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東京被害想定マップとは
東京被害想定マップとは、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などが発生した場合の震度・被害の分布予測が地図上で簡単に把握できるマップです。
引用:東京都「東京被害想定マップ」
東京被害想定マップの特徴は、東京都で想定されている以下の5種類の地震ごとの被害想定がわかることです。
・都心南部直下地震:東京都区部の南部を震源とし、首都直下型地震の中でも最大規模の被害が想定されている地震・多摩東部直下地震:多摩地域の東部を震源とし、特に多摩地方で大きな被害が想定されている地震
・大正関東地震:海溝型地震で、区部南部や東部、町田市などで震度6強が想定されている
・立川断層帯地震:埼玉県南西部から東京都府中市に至る立川断層帯を震源とする地震で、震度6強以上の発生は多摩地域に限定される
・南海トラフ巨大地震:駿河湾から遠州灘、紀伊半島の南部、土佐湾、日向灘沖にかけての海溝(南海トラフ)周辺で予想されている地震
東京被害想定マップで分かることは?
東京被害想定マップでは以下の被害想定を確認できます。
・震度分布
・液状化危険度ランク
・液状化沈下量(液状化現象によって沈下する地盤の量)
・急傾斜地崩壊危険度ランク
・建物全壊棟数
・焼失棟数
・細街路閉塞率
・特定緊急輸送道路沿道建築物
・津波被害想定(南海トラフ巨大地震発生時)
たとえば、山間部に仕事や観光で訪れる際に、「急傾斜地崩壊危険度ランク」を確認しておくことで、土砂災害が発生しやすい地域を把握できます。
引用:東京都「東京被害想定マップ」
上の図は、都心南部直下地震が発生した場合の急傾斜地崩壊危険度ランクです。具体的な見方は、「赤色は危険度が高い」「緑色は危険度がある」「青色は危険度が低い」となります。
危険度が高いエリアに該当する場合、地震が発生したときを想定し、近くの安全な場所までの避難ルートを事前に考えておくことができます。
避難ルートを決める際には「細街路閉塞率」を確認!
都心に滞在していて避難ルートを事前に決めておく際には、細街路閉塞率を確認しておくと避難がスムーズです。細街路閉塞率とは、幅員13m未満の狭い道路を対象として、地震発生時に周辺の建物が倒壊した場合に、道路が不通になる可能性を示したものです。
以下の図は、都心南部直下地震が発生した場合に想定される細街路閉塞率です。
引用:東京都「東京被害想定マップ」
色が最も濃い部分は閉塞率が20%を上回っており、避難時に道路が使えなくなる可能性が高いエリアとなります。避難ルートを選定する際には、このような場所を避けるとよいでしょう。
なお、東京被害想定マップは5つの地震による被害想定が確認できますが、実際にはどの地震が発生するかわかりません。そのため、それぞれの地震における被害想定を確認しておくことが大切です。
東京マイ・被害想定とは
東京マイ・被害想定とは、家族構成や建物の構造、地域の特徴などの属性を入力することで、自分自身に合った個別の被害想定を作成できるツールです。想定される被害の状況を把握することで、平常時や災害発生時にとるべき行動が把握できます。
引用:東京都「東京マイ・被害想定」
選択・入力する項目は以下の計7つです。
① 年齢
② 家族構成
③ 首都直下地震等が発生した時にいると想定される場所
④ 首都直下地震等が発生した時にいることが想定される建物の種類
⑤ 建物の耐震性の有無
⑥ 首都直下地震等が発生した時にいると想定される地域
⑦ 地域の特徴
それぞれ自身に当てはまる項目を選択・入力したあとは、下部にある「あなたのマイ・被害想定を確認しましょう」から次に進みます。
引用:東京都「東京被害想定マップ」
選択・入力した条件をもとに、首都直下地震等が発生した場合に身近で起こりうる被害や、平時に取り組むべき防災対策・発災直後の防災行動が表示されます。
必要な防災対策や被災後の行動については、チェックリストの形でPDF出力や印刷ができるため、プリントして手元に置いておくとよいでしょう。
配信: 防災ニッポン