寸借詐欺の罠に注意!手口と対処法、被害予防法を詳しく解説

寸借詐欺の罠に注意!手口と対処法、被害予防法を詳しく解説

3、寸借詐欺に遭ったら泣き寝入り?事件化されにくい理由とは

実際のところ、寸借詐欺の事案は警察に通報しても事件化されず、被害者は泣き寝入りせざるを得ないことが少なくありません。その理由は、以下のとおりです。

(1)1件当たりの被害が少額だから

寸借詐欺の事案では、1件当たりの被害が少額であるため警察が真剣に動かず、事件処理を後回しにされやすいという事情があります。

被害者としても、諦めのつきやすい金額であることが大半であると考えられます。

事件化してもらうために警察の事情聴取などに時間と労力を費やすよりも、諦めてしまおうと考えることが少なくありません。

犯人としても、「これくらいの金額なら訴えられることはないだろう」と考えて犯行に及んでいる可能性が大いにあります。

(2)詐欺の立証が難しいことが多いから

法律上、寸借詐欺の事実の立証が難しいことが多いということも、事件化のネックとなっています。

仮に犯人が検挙されたとしても、「本当に返すつもりだった」と弁解されてしまうと、警察または被害者側で「返すつもりがなかったこと」を追究しなければ、詐欺罪で立件することはできません。

しかし、このような犯人の内心における事情は立証が難しいことが多いのです。

(3)犯人の行方が分からないことが多いから

事件化するためには、犯人の居場所を突き止めなければなりません。

しかし、犯人が見ず知らずの人であり、教えられた連絡先が虚偽で遭った場合には、被害者にとっては事実上、どうしようもないでしょう。

犯人の居場所を突き止めるためには警察の手を借りなければなりませんが、警察に相談してもなかなか動いてもらえないのが実情です。

結果として、被害者は諦めの心境となり、泣き寝入りすることになりがちです。

4、寸借詐欺に遭ったら警察に被害届を出すことが重要!

寸借詐欺が事件化されにくいことは否定できませんが、被害に遭ったらダメ元でも警察に被害届を出すことが重要です。

(1)寸借詐欺で逮捕された事例

寸借詐欺の犯人が実際に逮捕された事例もありますので、すぐに諦めるべきではありません。

例えば、2020年8月、福岡県で「ひったくりに遭って財布などを盗まれた。帰宅するための交通費と宿泊するためのホテル代を貸してほしい」という口実で通りすがりの人から1万円を騙し取った男が逮捕されました。

この男は、他にも10人以上から同様の手口でお金を騙し取っていたとのことです。

参照:西日本新聞|「ホテル代貸して」善意につけ込む“寸借詐欺”…狙われる若者

さらに、2019年12月から2020年1月にかけて、佐賀県内の理髪店や病院、運送会社を男が訪れ、「娘が交通事故に遭ったので急いで熊本に帰りたいが、お金がないので貸してほしい」という口実で合計3万円を騙し取ったという事件もありました。

この男は他にも9人から同様の手口で合計15万円を騙し取っており、2021年1月、刑事裁判で懲役3年8ヶ月の実刑判決が言い渡されています。

参照:寸借詐欺の男 懲役3年8カ月の実刑判決【佐賀県】|サガテレビ

決して「警察は寸借詐欺では動かない」というわけではありませんので、被害に遭ったら警察に被害届を出しましょう。

(2)同種の犯行が続出していると発覚しやすい

上記の事例もそうですが、寸借詐欺で逮捕される事例の多くは、犯人が同種の犯行を繰り返していたというケースです。

実際、寸借詐欺の犯人が「出来心で一度だけ詐欺を働いてしまった」ということは少なく、何度も寸借詐欺を繰り返していることが多いものです。

1件当たりの被害金額が小さくても、繰り返されると合計額は大きくなります。

常習的に犯行に及んでいるという点でも犯情が重くなるので、警察が動きやすくなるのです。

また、同一の犯人に対して複数の被害者が被害届を出せば、警察も無視はできなくなります。

被害者が申告しなければ警察が犯行を認知することは困難ですので、まずは被害に遭ったあなたが警察に届けることが重要であるといえるでしょう。

(3)現行犯なら逮捕の可能性が高まる

比較的軽微な犯行であっても、現行犯なら逮捕の可能性は高まります。

寸借詐欺の場合、後になって被害に気付くことがほとんどですので、現行犯で警察に通報することは難しいという問題はあります。

しかし、寸借詐欺の犯人が「電車賃を貸してほしい」と言ってお金を受け取っておきながら、実際には電車に乗らず、近辺を徘徊していることはよくあります。そればかりか、同じように「電車賃を貸してほしい」と、別の人に打診しているケースもあります。

そんな犯人を見つけたときは、警察への通報を検討しましょう。

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