幸せな事実婚をするための10の秘訣

幸せな事実婚をするための10の秘訣

3、事実婚のデメリットは?|届出婚制度との比較

事実婚でデメリットとなる項目は、裏を返せば届出婚のメリットと考えることができます。

このような「届出婚にあって事実婚にはないもの」には一体どのようなものがあるのか、詳細を見ていきましょう。

(1)法定相続人になれない

届出婚を行うと、配偶者は自動的にお互いの法定相続人になります。

しかし、事実婚では法律上の夫婦関係がないため、法定相続人になることができません。

これは、夫・妻が亡くなってもその遺産を相続することができないことを意味します。

(2)自動的に父親の子どもにはならない

事実婚夫婦の間に生まれた子どもは、自動的に母親の戸籍に入るため、姓も母親のものを名乗ることになります。

そのまま何も手続きを行わなければ父親との関係は非嫡出子となり、そこに法的な父子関係を発生させるためには「認知」というステップが必要です。

ただし、認知を行ってもその段階では親権は母親にあり、家庭裁判所に請求することで親権を父親に変更することも可能ですが、いずれにせよ夫婦共同で子どもの親権者となることはできません。

その点、届出婚の場合は特に手続きを行わなくても子どもは夫婦2人の子どもであると法的に認められ、親権も共同で持つことができます。

(3)所得税において配偶者控除制度が使えない

届出婚の場合、扶養に入っている配偶者がいる場合は所得税の配偶者控除を受けることができ、支払う税金を本来よりも少なく済ませることができます。

しかし、事実婚ではこの配偶者控除を利用することができず、税制面での恩恵を受けることができません。

(4)相続税において配偶者税額軽減がない

先ほど事実婚では法定相続人になることができないというお話をしましたが、実はこのデメリットはあらかじめ遺言書を作成しておく、死因贈与契約を結ぶなどの対処法でカバーすることが可能です。

ただ、これらの方法で財産を相続すること自体はできても、届出婚であれば利用できる相続税の配偶者税額軽減が事実婚には適用されないため、ここでもやはり負担する税額がグッと増えてしまいます。

贈与税についても同じく事実婚では配偶者控除が利用できないため、税金の支払いに関しては届出婚よりもだいぶ不利になると考えることができるでしょう。

4、離婚時の金銭関係は、事実婚も届出婚も変わらない

事実婚で万が一夫婦関係を解消することになったら…いわゆる届出婚の「離婚」と比べてどのような違いがあるのか、気になる方も多いでしょう。

事実婚ではそもそも役所に婚姻届を提出していないため、関係解消時の離婚届も不要です。

届出婚について回る「旧姓への氏名変更手続き」も必要なく、スムーズに離婚後の生活に移れるところが大きなポイントとなります。

それでいて、次のような金銭関係の項目は事実婚でも届出婚でも同等に請求することができ、「事実婚だから関係解消時に大きく損をしてしまった」というようなことになる可能性は低いため、その点は安心です。

(1)貞操義務違反の慰謝料請求

事実婚なら浮気はOKでしょ?と思われている方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、事実婚であっても、夫婦の貞操義務は守らなければなりません。

もし内縁の夫・妻が他の相手と浮気した場合は、慰謝料を請求することができます。

(2)財産分与

財産分与とは、結婚してから夫婦で築いた財産を、離婚時に2人で分け合うことです。

預貯金・家・車・家電・家具・有価証券・保険など様々な財産が対象となり、その分け方は原則として2等分になります。

事実婚の関係解消時も基本的には同様です。

(3)年金分割

所得税や相続税では配偶者控除を受けることができない事実婚ですが、社会保険の年金では届出婚と同様の恩恵を得ることができます。

離婚時の年金分割がそのひとつで、たとえば妻が専業主婦の場合でも、結婚している間に夫が納付した年金の記録を離婚時に妻へ分割することができ、妻にとっては老後の生活の足しになるでしょう。

(4)養育費

事実婚で父親が子どもの親権を持っていないケースでも、関係解消の際には養育費を請求することができます。

金額の相場も届出婚と特に変わらないため、必要に応じてしっかり話し合いを行いましょう。

(5)婚姻費用

正式な離婚が決定する前にすでに夫婦が別居していた場合、その間の生活費(=婚姻費用)は同居中と同じように夫婦で分担しなければなりません。

事実婚の関係解消においても基本的には同様です。

もし専業主婦の妻が家を出て別居していたなら、その別居にかかった費用は夫に請求することができるのです。

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