入院から退院まではトータル8日間。第2子の予定帝王切開<医師監修あり>

第1子出産時に緊急帝王切開となったことから、第2子の出産は予定帝王切開となったぬぴさん。どのような流れで入院から分娩へと進んでいったのか、ぬぴさんの出産エピソードをご紹介します。

生まれる赤ちゃんの数だけある出産のエピソード。SNSで見たり、プレママ友やママ友から話を聞いたりしたとき、なんとなく気になることがあったりしませんか?
妊婦さんが少しでも快適なマタニティ生活を送れるよう、ぬぴさんに今回の出産時の経験を共有していただき、女性医療クリニックLUNA横浜元町・婦人科医である小野寺真奈美先生に出産にまつわる疑問点を教えていただきました。

上の子のお世話もあり、第1子の出産時とは全く異なってバタバタと忙しく過ごしていた入院前。予定日があらかじめ決まっている帝王切開ですが、その日の前に入院するようなことにならないかヒヤヒヤとしていたそう。
入院前には主にどのようなことをされていたのでしょうか?
「入院前にやっていたことは、家の整理です。入院日が決まっていたので、その日までに赤ちゃんを迎える準備を落ち着いて整えられました。入院中に旦那にお願いすることもできたのですが、同じ時期に慣らし保育がはじまる長男との時間をしっかり取って欲しかったので、入院前にある程度準備は終わらせておきました」。

長男のぽこくんにしっかり数日間ママが不在となることを伝え、出産前日に予定通り入院を迎えました。
帝王切開ということもあり出産後に順番を気にせずトイレやお風呂に入りたいこと、また自由に面会できることから希望していた個室に入院。翌日昼からの手術に備え、21時までに食事を済ませその日は就寝となりました。
※面会などの状況については産院によって異なります


術後2日くらいはお風呂に入れないと、看護師さんから伝えられていたぬぴさんは、翌朝にシャワーを浴びてさっぱりしてから手術着に着替えます。手術前の点滴予定時刻まで水分をとりながら、メイクができない代わりに眉ティントを行いました!
「眉ティントで写真うつりはバッチリでした!眉毛があるのとないのとでは写真の写り方が違いますね(笑) また、歩けるようになるまではシャワーも入れないので、手術前にしっかり頭を洗っておいた方がいいです」。

午前中に最後の診察を行った後は病室で待機。予定時刻を少し回った頃、看護師さんに呼ばれて手術室に移動しました。下半身の麻酔が効いたのち、いよいよ手術がはじまります。バースプランに「手術中は怖いのでなるべく話しかけてほしい」と書いたこともあり、手術中は楽しくおしゃべりをしていました。
どのようなお話をしていたのでしょうか。
「手術中、助産師さんのお子さんの話を聞いていました。あとは、お互いのおすすめのスキンケアなど、なるべく手術とは関係ない話でリラックスさせてもらいました。でも、今何をしているのかは知りたかったので、逐一今何をしているのかを教えてもらっていました」。

しかし、その最中に急に目を開けていられないような状況に。
「瞼と肩がとても重くなって、目を開けるのが辛かったです。『あ、このまま気を失うかも』と思いましたが、助産師さんが声をかけてくれて何とか意識を失わずに済みました」。
血圧が一気に下がったことによる症状だったこともあり、血圧を上げる薬を点滴に入れてくれてからはすぐ楽になったそうです。

ぬぴさんの第2子予定帝王切開は、およそ計画していた通りに進行していましたが、手術の最中に血圧が降下。適切な処置のおかげで落ち着きを取戻し、いよいよ赤ちゃんとの対面の時が近づいてきます!

専門医に聞く「出産」にまつわるギモン

ぬぴさんの出産レポートをもとに、現在女性医療クリニックLUNA横浜元町・婦人科医であり、ご自身も2児の母である小野寺真奈美先生に、出産にまつわる様々な疑問をお聞きしました。

── 出産には、自然分娩と帝王切開がありますが、帝王切開となる場合はどのようなときでしょうか?
「帝王切開とは、お腹・子宮を切って赤ちゃんを取り出す分娩方法の一つです。経腟分娩が困難と判断した場合に行います。赤ちゃんの要因・お母さんの要因と理由は大きく2つあり、また、予定で行う「選択的帝王切開」、緊急時に行う「緊急帝王切開」があります。
「選択的帝王切開」は、主に逆子(骨盤位)・多胎(条件によっては経腟分娩できる場合もあります)・胎盤の位置異常(子宮の出口を胎盤がふさいでいる)・前回帝王切開・子宮の手術をした後の妊娠・児頭骨盤不均衡(骨盤の大きさが小さい)などの場合です。
「緊急帝王切開」は、赤ちゃんやお母さんに負担がかかっていて、一刻も早く分娩にしたほうがいいような場合に行います。具体的には、赤ちゃんの心拍が下がってしまう場合・羊水混濁で感染が起こってしまっている場合・陣痛破水が起こったものの分娩が進行しない場合・常位胎盤早期剥離など、他にもいろいろありますが経腟分娩では負担がかかるもしくは時間がかかる場合に行います。
今回のぬぴさんの場合、第1子の際はおそらく陣痛がきたものの分娩の進行が遅く分娩促進したが分娩が進まず、胎内で感染による羊水混濁・赤ちゃんの向きが分娩に適していない回旋異常と多くの要因が重なり緊急帝王切開になったのでしょう。第2子は第1子が帝王切開での分娩であったため帝王切開での分娩になっています。

── 手術の前に行った、下半身だけの麻酔とはどんなものでしょうか?
「麻酔には全身麻酔と局所麻酔があります。帝王切開術は局所麻酔が主で、超緊急など特段の理由がない限り局所麻酔で行います。帝王切開で行う局所麻酔は下半身麻酔になります。
下半身麻酔は脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔に分かれ、背骨の中にある脊髄という神経の束が入っている袋の中に薬を注入して神経をブロックすることで痛みを感じないようにする方法です。脊髄くも膜下麻酔のみか、術後の持続的に痛みをとる硬膜外麻酔を併用するかは施設の方針などにもよります」。
 
── ぬぴさんのように、手術中に血圧が下がってしまうことはよくあることなのでしょうか?
「背中の神経には血圧を調整する神経も含まれており、下半身麻酔の副作用として血管の緊張が取れて血圧が低下する場合があります。血圧が低下しすぎて気持ちが悪くなったりする場合があります」。

帝王切開は計画を立てられても、そして予定通りに進んだとしても、突発的な出来事が起こることはままあります。それは初めてでも、二度目以降であっても同じこと。少しでも不安を感じたことは相談をして、出産のその日を迎えられるようにしておきましょう。

ぬぴ
2児の母。日常漫画やあるある育児、夫婦のなれそめ漫画などインスタグラムなどで公開中。

取材・文=伊藤延枝
医療監修=医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニックLUNA横浜元町 婦人科医 小野寺真奈美先生

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