罰金刑が前科につながる?生活への影響と回避策や対処法について解説

罰金刑が前科につながる?生活への影響と回避策や対処法について解説

5、罰金を支払えないとどうなる?

罰金の納付方法や、罰金を払えないときの対処法を紹介します。

(1)罰金の支払い方法

罰金刑で科されたお金の支払い方法は以下の2つです。

納付告知書を使って金融機関で納付する
検察庁の窓口で納付する

納付期限は判決確定から約2週間後が指定されるのが一般的です。

原則として一括払いしか認められませんが、怪我・病気・無職などの事情があれば、分割払いや納付期限の延長が認められる場合があります。検察庁の徴収担当者と相談しましょう。

(2)どうしても支払えない場合は労役場留置

納付期限までに罰金を納入できないと、財産に対する差し押さえが実行されます。

差し押さえによっても罰金総額を補填できない場合には、身柄拘束のうえ、罰金刑を完納するまで「労役場留置」とされ、労働を強いられます(刑法第18条)。

この場合、「労働1日当たり○○円」というように金銭に換算され、罰金額を完納するまで刑務所などの刑事施設に収容されるのです。1日当たりの金額は事案によって異なりますが、5,000円程度が相場です。

たとえば、罰金刑で科された10万円を納付できないと、20日間労務場で働かなければいけません。

(3)労役場留置を避けるための対処法

先ほど紹介したように、分割払い・納付期限の延長が認められるケースもありますが、刑罰として科されるものである以上、納付期限の遵守は絶対だと考えましょう。

したがって、労役場留置を避けるには、自分でお金を用意しなければいけません。手元にお金がないときには、以下の金策をご検討ください。

預貯金を崩す
家族や親族、友人に融資を依頼する
消費者金融やカードローンで借金する

なお、消費者金融などを利用するのは注意が必要です。

なぜなら、借入期間に応じて利息が発生するため元金以上の返済を強いられますし、滞納が生じると遅延損害金・残債の一括請求・ブラックリストへの登録・強制執行などのリスクに晒されるからです。

したがって、できるだけペナルティーやデメリットの少ない方法での資金調達を目指し、どうしても自力納付できないときには検察庁で分割払い・期限猶予についてご相談ください。

6、罰金刑の前科を回避するための対処法

罰金刑も前科になるため、状況が許すなら有罪判決そのものを回避するべきでしょう。

罰金刑を回避するのに役立つ方法は以下の3つです。

反省の態度を示す
被害者との示談をまとめる
刑事事件に強い弁護士に相談する

(1)反省の態度を示す

罪を犯したことが間違いないのであれば、逮捕・勾留後は反省の態度を示すことが重要です。

なぜなら、微罪処分や起訴、不起訴の判断の際には、被害の程度や犯行に至った経緯だけではなく、加害者側の反省の姿勢や更生の可能性なども総合的に考慮されるからです。

これにより、事案によっては、検察官送致を免れて微罪処分が下されたり、勾留請求前に不起訴処分を出されたりするなど、早期の終結を目指せるでしょう。

(2)被害者と示談する

罰金刑による前科を回避するには、被害者との示談交渉も重要です。

なぜなら、示談の内容によっては、被害者の処罰感情が薄いことの証明になる場合があったり、被害が事後的に回復していることの証明になる場合があったりするので、被疑者にとって有利な手続進行を目指せるからです。

ただし、逮捕後、警察での身柄拘束期間は最大48時間、検察官送致から起訴処分の確定までは最大24時間(逮捕から72時間)の時間制限が設けられています(勾留請求が認められたとしても、原則10日、最大20日の期間が加算されるだけです)。

したがって、逮捕される場合では、起訴処分が下されるまでの短期間で被害者との示談をまとめる必要があるので、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をして被害者との示談交渉を進めてもらいましょう。

(3)弁護士に相談する

罰金刑が科されて前科がつくことを回避するには、弁護士に相談するのがおすすめです。なぜなら、弁護士への相談によって以下のメリットが得られるからです。

処罰感情が強い被害者との間でも冷静に示談交渉を進めてくれる
逮捕・勾留後に実施される取り調べの対応方法を相談できる
不起訴となるために自分がどういったことをすればよいかを教えてくれる

起訴処分、有罪判決までは時間が限られているので、刑事事件の実績豊富な弁護士に相談してスムーズな解決を目指しましょう。

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