『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
服を作るより買ったほうが安い時代に
たぶん2000年以降の傾向だと思います。どんなに小さな街にも一つはあった手芸店が少しずつ消えていきました。ボタンを買ったあのお店も、アンダリヤのバッグ作りを習いに行ったあのお店も、気づけばなくなっていました。
それだけではなく、生地や毛糸、その他、手作りをするために必要なあれこれが売られていた大型の店舗も、知らない間に売り場が縮小、あるいは閉店してしまいました。中学や高校の家庭科の授業で使う必要な生地を探し回った、町田駅近辺の生地屋さんも今はもうありません。
もちろん今でも蒲田まで行けばあらゆるものがそろっているユザワヤがあって、困ることはありません。けれども、もっと身近にあった手作りや手芸は少し遠くの存在になってしまいました。
そんなことを感じていたあるとき、編み物が趣味の友達に、こう言われました。
「小林さん、自分で服を作ったり、セーターを編む趣味はすごくお金がかかるんです。今は服もセーターも買ったほうが安いですから!」
古着から新しいドレスを作るリメイク
そうなのです。私が学生だったころ、自分で作ったほうが安かった服やセーターは、ファストファッションの出現以降、買ったほうがずっと安いものになってしまい、手芸や洋服作りは、お金と時間に余裕がある人の趣味になってしまったのでした。今はもう、手作りの服やセーターを着て学校に行く学生なんて、あまり見かけないでしょう。
確かに生地の値段もだいぶ上がりました。生地の原材料はほとんど輸入品ですから、円安になればなおさらです。今、生地はとても高価なものになってしまいました。
一方、セカンドハンド店や古着屋は急増しています。もう既に作られた洋服なら安く簡単に、どこの街でも手に入ります。もちろん新しく生地を買うよりずっと安い。これを使ってリメイクすればいい、それはわかっていました。
けれども新しく一から何かをデザインして作るのと、もう既にあるものから別の何かを作るのでは、考え方が全く違うのです。
学校ではリメイクの仕方など習いません。指導されるのは生地の地の目を通すこと、柄合わせをすることです。となると、リメイクは二の足を踏んでしまいます。
しかし先日インスタグラムで、リメイクを得意とするトレーシーという女子を見つけました。彼女はニューヨークのFIT(ファッション工科大学)の卒業生なので、作り方もしっかりしています。
トレーシーは工業用ボディを使って形を作り、パターンを起こして裁断、自分で縫製して、古着から新しいドレスを作る様子の動画を次々にアップしています。それを見ながら、そうか、こうやればいいんだと、少しわかったつもりになったので、早速トレーシーを真似して、私もリメイクしてみることにしました。
配信: 女子SPA!