生前贈与の手続きを円滑に進めるための7つの基本ポイント

生前贈与の手続きを円滑に進めるための7つの基本ポイント

3、生前贈与の手続きの流れは?

生前贈与を進めるときには、以下のような流れで進めましょう。

(1)まずは、贈与税の控除の制度を知る

まずは、贈与税の控除の制度としてどのようなものがあるのかを知りましょう。

暦年贈与だけではなく、配偶者間の居住用不動産やその資金の贈与、親から子どもへの居住用不動産購入資金贈与、教育資金贈与、結婚・子育て資金の贈与など、いろいろな制度があります。

もっとも有利になる方法を調べて選択する必要があります。

(2)効果的な生前贈与の計画を立てる

ケースに応じて、どのような贈与税控除制度を利用すれば得になるのか、しっかり検討して生前贈与の計画を立てましょう。

たとえば、長男に家を継がせたい場合には長男に不動産を取得させる必要がありますし、事業承継をするときには、後継者に確実に株式と経営権がわたるように計画を立てなければなりません。

(3)贈与対象資産を特定する

贈与をするときには、何を贈与すべきかが問題となります。

現金か預貯金か、株式か不動産か、全部贈与するのか一部の贈与にするのかなど、ケースに応じた最適な資産を選び出しましょう。

また、誰に贈与するのかも問題です。子どもに贈与をするのか孫に贈与をするのか、1人に贈与するのか、複数の人に贈与をするのかなども検討して決定する必要があります。

(4)受贈者の承諾を得る

生前贈与は贈与契約なので、受贈者による承諾が必要です。

たとえば、一方的に子ども名義の預貯金を作っても贈与したことにはならないので、注意が必要です。

必ず本人に贈与したいことを告げて、同意を得てから生前贈与の手続を進めましょう。

(5)贈与契約書を作成する

生前贈与をしたら、必ず贈与契約書を作成しましょう。

このことは、後の項目で詳しく説明します。

(6)不動産の登記などの手続きを行う

不動産を贈与したら、必ず速やかに所有権移転登記をしておきましょう。

4、贈与税に関する基礎知識を身につける

生前贈与を行うときには、税金についての基礎知識を持っていることが望ましいです。

贈与税の基礎控除、相続税の基礎控除、相続税の計算方法や相続税率などを把握しておきましょう。

(1)贈与税の基礎控除

贈与税の基礎控除は、1年に110万円です。

(2)相続税の基礎控除

相続税の基礎控除は、3,000万円+法定相続人数×600万円です。

(3)相続税の計算方法

相続税を計算する手順は、以下の通りです。

まずは、遺産の中で、プラスの資産からマイナスの負債や葬儀費用を引き算して、相続財産の総額を算出します。

そこから相続税の基礎控除を引き、課税対象資産を確定します。

そして、その金額を、各法定相続人の法定相続分に応じて割り算し、それぞれの部分に対して相続税の税率をかけ算します。

そのようにして、それぞれの法定相続分によって計算した相続税を合計したものが、そのケースにかかる相続税の金額となります。

そして、その相続税額を、各相続人の具体的な相続分に応じて配分します。

最後に、配偶者控除などの控除制度を適用すると、それぞれの相続人が支払うべき相続税額を確定することができます。

(4)相続税率

上記の計算の際に利用する相続税率は、以下の通りです。

法定相続分に応じた取得金額
税率
控除額

1,000万円以下
10%
なし

3,000万円以下
15%
50万円

5,000万円以下
20%
200万円

1億円以下
30%
700万円

2億円以下
40%
1,700万円

3億円以下
45%
2,700万円

6億円以下
50%
4,200万円

6億円超
55%
7,200万円

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