生前贈与の手続きを円滑に進めるための7つの基本ポイント

生前贈与の手続きを円滑に進めるための7つの基本ポイント

5、生前贈与の計画を立てて本当に節税効果があるかチェック

(1)節税効果のシミュレーション

生前贈与をするときには、実際に計画を立ててみた後に、どのくらい節税効果があるのかシミュレーションしてみることが重要です。

たとえば不動産の贈与をすると、余計な費用がかかるため、差し引き計算してみるとあまり節税効果が無いこともあります。

不動産を贈与すると、登録免許税と不動産取得税がかかります。

登録免許税は不動産評価額の2%となり、不動産取得税は不動産評価額の1.5%になるので(ただし、軽減税率適用時)、合計すると不動産評価額の3%以上の費用が発生するのです。

また、登記の手続を司法書士に依頼したら、司法書士の費用も必要です。

生前贈与をせずに相続した場合には、不動産取得税や司法書士代は発生しませんし、登録免許税も、不動産評価額の0.4%で済みます。

そこで、不動産を贈与するときには、そのことでどのくらい税金が安くなるのかを試算することが大切です。

(2)贈与税控除の制度を比較検討する

いくつかある贈与税控除の制度の中で、どれがもっともメリットが大きいかも重要な問題です。

たとえば、毎年110万円の贈与分が無税になるという、暦年贈与の方法がありますが、これと選択的に利用できる方法として、相続時精算課税制度があります。

一時にまとまった資産の贈与をするときには、相続時精算課税制度の方が有利になることもあるので、生前贈与をするときには、各種の制度を踏まえて、現実に即したシミュレーションを行っておくことが大切になるのです。

6、マストではないが贈与契約書を作成すべき

上記でも少し触れましたが、生前贈与をするときには、必ず贈与契約書を作成しましょう。

以下で、その理由をご説明します。

(1)契約書がなくても贈与は成立する

贈与は、諾成契約という種類の契約です。

すなわち、契約当事者が承諾をすれば、それだけで成立するということです。

それ以外に、書類を作成したり実際に贈与物を引き渡したりする必要はありません。

(2)証拠として契約書が必要

しかし、贈与契約書を作成しておかないと、贈与をした証拠が残りません。

そうなると、後日税務署から調査が入ったときに、生前贈与を否認されてしまう可能性があります。

生前贈与が認められないと、全額が相続財産と評価されて、相続税が課税されてしまうため、節税目的が一切達成できないこととなってしまいます。

また、贈与契約書は、他の相続人への対策としても重要です。

たとえば、被相続人から預貯金を贈与されたときに、贈与契約書を作成していなかったら、他の相続人が「被相続人からお金を預かっていただけではないか」「被相続人の預貯金を引き出して、勝手に自分のものにしたのではないか(使いこみを疑われる)」などと疑って、トラブルになってしまうこともあります。

以上のような理由により、贈与契約書の作成は、法律上要求されるわけではありませんが、生前贈与を有効なものとするために必要です。

(3)贈与契約書のひな形

贈与契約書を作成するときには、「無料ダウンロード可!贈与契約書の雛形と書き方のポイント5つ」を参考にしてください。

現金、生命保険料の贈与、不動産の贈与契約書のひな形や贈与契約書作成方法をご紹介しています。

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