生前贈与は毎年110万円以下なら原則税金がかからない?税金がかかる例外とその理由

生前贈与は毎年110万円以下なら原則税金がかからない?税金がかかる例外とその理由

3、1年で110万円以下でも贈与税がかかってしまう場合とは?連年贈与(一括贈与)と暦年贈与の違い

暦年贈与を利用して生前贈与を進めるとき、注意点があります。

それは、「連年贈与(一括贈与)」とみなされてはいけない、ということです。

連年贈与とは、当初にまとまった金額を贈与する約束をして、支払い方法を定期的な分割払いにする贈与の方法です。

すなわち、当初に「1,000万円を贈与する」などと取り決めをして、その支払い方法として、10年にわたって100万円ずつを贈与していく場合などです。

この場合、毎年100万円しか贈与していないから、暦年贈与による贈与税の基礎控除が適用されるようにも思えます。

しかし、実際にはそうなりません。

当初に「1,000万円贈与する」と取り決めている以上、その時点で1,000万円を基準とした贈与税が発生してしまうのです。

その後100万円ずつ支払っている外形があっても、「連年贈与である」と認定されてしまったら、多額の贈与税が課税されてしまいます。

こうした連年贈与のことを、定期贈与、定期金贈与、一括贈与などと言うこともあります。

暦年贈与と連年贈与の違いは、「当初にまとまった金額の贈与の約束をしているか」ということです。

当初にまとまった金額の贈与を約束していたら連年贈与となって多額の贈与税が課税されることとなりますが、毎年あらためて少額ずつの贈与の約束をしているのなら、暦年贈与となって贈与税は課税されません。

4、一括贈与とみなされないための3つの方法

せっかく毎年110万円ずつ細かくお金の受け渡しをしていても、連年贈与(一括贈与)とみなされてしまっては、努力が水の泡です。

一括贈与とみなされないためには、どのような方法をとれば良いのでしょうか?

(1)贈与契約書を作成する

1つは、贈与契約書を作成することです。

これは極めて重要です。

契約書を作成せずに、親が勝手に子ども名義の口座に入金をしていても、そもそも子どもは贈与を受けているという気持ちになっていないかもしれません。

そうなると、連年贈与どころか「贈与」であることまで否定されて、全額に相続税が課税されるおそれもあります。

また、贈与契約書は、必ず毎年作成しなければなりません。

1回1回の契約内容を110万円以下の贈与にすることにより、確実に、毎年贈与税の控除を受け続けることができます。

贈与契約書については、以下のページに書き方を詳しく載せているので、ご参照下さい。

(2)子どもの同意を得て、子ども名義の口座に毎年送金を続ける

贈与するお金の支払い方法にも注意が必要です。

お金を渡す方法としては、さまざまな手法が考えられます。

同居している親子なら、現金手渡しで渡した方が早いと思われることも多いです。

しかし、現金手渡しをすると、毎年贈与が行われているという証拠が残りません。

子どもが後に、まとめて自分の口座に入金してしまったら、そのときに一括して贈与が行われたとみなされてしまう可能性もあります。

そこで、親名義の口座から子ども名義の口座へと、毎年確実に送金を継続していくことが重要です。

(3)少額の贈与税を支払う

もう1つの対処方法は、毎年あえて少額の贈与税を支払う方法です。

たとえば、毎年110万円ではなく150万円を贈与することとして、40万円分の贈与税の申告をして4万円の贈与税を支払うのです。

確かにもったいないような気はしますが、ここまでしていたら、税務署も「一括贈与である」とは言えません。

確実に暦年贈与を成立させるための経費だと考えましょう。

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