相続財産の評価を適切に進するために必要な6つの知識

相続財産の評価を適切に進するために必要な6つの知識

5、その他の遺産の評価方法

株式や土地、建物といった主要な財産の他にも、次のような財産の相続税評価額が問題となるケースがあります。

預貯金
社債
貸付信託
投資信託
ゴルフ会員権
宝石や貴金属、自動車などの家庭用財産
生命保険の解約返戻金

経済的な価値があるもの(つまりお金に変えられるもの)を相続した場合には、一定の計算ルールにしたがって相続税評価額を算出し、その評価額に応じた相続税を納付しなくてはならないのは共通のルールです。

以下、順番に相続税評価の方法を見ていきましょう。

(1)預貯金

銀行預金や郵便貯金が相続財産に含まれる場合、「預貯金元本と解約した場合の利息の受取額」の合計額が相続税評価額となります。

計算式にすると以下のとおりです。

預貯金の相続税評価額=預貯金元本+解約した場合の利息の受取額

なお、定期預金の場合は上の計算式で相続税評価額を計算しますが、普通預金の場合は元本のみとする場合もあります。

(2)社債

社債とは、企業が一般投資家に向けて小口にわけて発行する借入証書のことです。

社債の相続税評価額は以下のように計算します。

社債の相続税評価額=社債の発行価額+既経過利息の手取額(税引き後)

既経過利息の手取額というのは、社債の所有者が本来受け取れるはずである利息の日割り額のことです。

証券会社に依頼すると計算書を出してもらえます。

なお、金融証券取引所に上場している社債である場合には、取引価格に既経過利息の手取額を加算した金額と、上記の計算式で計算した金額のうち、どちらか小さい方を選択することも可能です。

(3)貸付信託

貸付信託の相続税評価額は、以下のようにして計算します。

貸付信託の相続税評価額=元本+既経過収益の手取額-買取割引料

解約した際の手取り金額と考えておけば問題ありません。

取り扱いを行なっている金融機関で計算書類を出してもらえます。

(4)投資信託

投資信託の相続税評価額は、上場株式と同様に取引所での相場となります。

ただし、日経新聞などの日刊紙に記載されている「基準価格」をもちいて 相続税評価額を計算します。

(5)ゴルフ会員権

ゴルフ会員権の相続税評価額は、前所有者が亡くなった日の取引価格に70%を掛け算した金額となります。

計算式にすると以下のとおりです。

ゴルフ会員権の相続税評価額=相続発生日の取引価格×70%

取引価格とは別に、解約時に預託金が返還されるようなケースでは、上記の計算式で計算した金額に預託金の金額をプラスして相続税評価額を計算します。

(6)宝石や貴金属、自動車の家庭用財産

宝石や貴金属、自動車などの財産は、それらの財産の時価によって相続税評価額を計算します。

時価というのは買取査定に出したときにつく値段のことです。

自動車などはネット買取査定などで手軽に見積もりを出してもらうことができます。

宝石や貴金属については「税務署に見つからなければ良いのでは」という意見もあるかもしれません。

しかし、非常に効果な宝石や骨董品の場合には、これらを取り扱う業者の販売履歴なども税務調査の対象となるケースもあるといいますから、注意が必要です。

(7)生命保険の解約返戻金

故人が保険料を積み立ていた生命保険がある場合、その解約返戻金は相続税の課税対象となります。

この場合の相続税評価額は、相続発生時に保険を解約したと仮定した場合の解約返戻金の金額となります。

前納保険料や余剰金などがある場合には、これらも解約返戻金の金額に含めて相続税評価額を計算します。

6、相続税申告に関する相談は税理士へ

ここまで見てきたような形で相続財産の評価を行ったら、その金額に基づいて相続税の計算を行なっていくことになります。

相続財産の種類によっては、税額を大幅に削減できるさまざまな特例を利用できるケースがあります。

例えば、土地の相続税評価に関連してご説明した「小規模宅地等の特例」などもその1つです。

こうした特例の適用にあたっては、相続税に関する実務知識が必須となります。

実際に相続税の申告手続きを行う際には、専門の税理士に相談するのが賢明と言えるでしょう。

なお、ひと口に税理士といっても、様々な専門分野があることに注意が必要です。

お医者さんに外科医や内科医、精神科医…というように専門分野があるように、税理士にも専門分野があるというわけです。

相続税の問題については、遺産相続手続きを専門とする税理士に相談するのが適切です。

多くの税理士事務所では初回の相談料を無料としていますから、相談してみてください。

また、相続税の問題のみならず、遺言や遺産分割協議でのトラブル、遺留分の請求トラブルなども抱えているようであれば、税理士と連携している法律事務所への相談がおすすめです。

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