若い年代の妊婦さんにも「梅毒感染者」が急増!その理由は?【医師監修】

若い年代の妊婦さんにも「梅毒感染者」が急増!その理由は?【医師監修】

梅毒の症状は? どんな兆候がある?

梅毒の症状はわかりにくく、気づいたときには症状が進んでいると言われています。どのような兆候があるのでしょうか。

――梅毒にはどんな兆候があり、どのタイミングで受診すればいいのでしょうか。

土屋 性器や肛門、口などの感染部位に小さなかたいしこりができます。基本的にしこりには痛みやかゆみはありません。その後におへそのように真ん中がへこんだ潰瘍になります。これを硬性下疳(こうせいげかん)といいます。このとき、鼠径(そけい)部のリンパ節が腫(は)れる場合もあります。この時点で気づいて受診する方もいます。ただ、このしこりは、治療をしなくても自然に消えてしまうのです。

この時期を逃し、症状が治まったと思ってほうっておくと、次に手のひらや足の裏を含め、全身に発疹が出ます。このときに発熱や倦怠(けんたい)感、頭痛などの症状が出ることもあります。ここで内科や皮膚科を受診して梅毒が判明する方もいます。ただやっかいなのは、これらの症状も、やがて消えてしまうことです。
治療をせずにほうっておくと数年かけて症状は静かに進んでいきます。目に見える症状はなくとも、感染力は十分にあるため、知らない間に誰かに感染させてしまうことになるのです。

――梅毒の感染予防について、気をつけることを教えてください。

土屋 お話ししてきたように、梅毒は感染に気づきにくい感染症です。無自覚のうちに感染し、感染を広めてしまう可能性があります。
性行為の際には必ずコンドームを装着するのが鉄則です。
なお、梅毒はオーラルセックスやキスでも感染します。早期発見・早期治療をすれば軽症で済むことが多いため、性器や口、肛門などに痛みやかゆみがないかたいしこりが見られたら、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

監修/土屋裕子先生 取材・文/樋口由夏、たまひよONLINE編集部

梅毒が怖いのは、症状が出ては消えてしまうところです。ほうっておくと知らない間に感染を広めてしまう恐れも。
地域によっては保健所などで、無料で検査できるところもあるそうなので、気になる症状があったら、ぜひ住んでいる自治体のホームページなどで調べてみましょう。

●記事の内容は2024年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。

土屋裕子先生(つちやひろこ)

PROFILE
産婦人科専門医。日本性感染症学会認定医。現在、帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科助教。群馬大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院女性診療科・産科などを経て現職。2人のお子さんがいるママ。

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