洗顔料や石鹸などを取り扱っているビューティーブランド「Dove(ダヴ)」の広告が炎上している。Doveを展開するユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社は10月11日の国際ガールズデーに合わせ、2024年10月7日に渋谷駅の構内に広告を掲出。 その内容は「#カワイイに正解なんてない」をスローガンに、世間に溢れる美しさや可愛さを推し量る言葉に異を唱えるというもの。
画一的な美しさの基準に異を唱えるはずが
具体的には、身長と体重を引いた数値で痩せているかどうかの基準「スペ110」や、鼻と顎を結ぶ直線で横顔の美しさの基準「Eライン」など、計10種類の“基準”の言葉を塗りつぶし、一緒に「#カワイイに正解なんてない」と記したデザインだ。
「スペ110」や「Eライン」といった基準に惑わされず、自分らしさの追求を促した広告であることは理解できる。決して「痩せていることは正義」「小顔のほうが可愛い」とコンプレックスを煽ったわけではない。にもかかわらず、なぜ今回炎上騒動まで発展したのだろうか。
「#カワイイに正解はある」に変換されてしまう
まず、結果的にはコンプレックスを煽っているようにしか見えないことが大きい。顔から身体まで、様々な見た目に関する各基準の意味を短い文字数で丁寧に紹介しており、かえって各基準の重要性が強調されているように思う。もちろん「#カワイイに正解なんてない」というスローガンを問題視する必要はないが、具体的に記された各基準と一緒に載ると、むしろ「#カワイイに正解はある」というメッセージに変換されてしまう。そのことに嫌悪感を覚えた人が多かったのではないか。
「スペ110」「Eライン」という言葉が広まることで、それらが“美の基準”として認識されることを懸念した人も少なくないと考えられる。「Eライン」という言葉をDoveの広告で初めて知り、自身の顔と照らし合わせて「Eラインに収まっていない」とショックを受ける人が出るかもしれない。加えて、他者を攻撃するためのボキャブラリーとして「スペ110」「Eライン」という言葉を使う人間が現れるかもしれない。コンプレックスに無理矢理気づかせたり、他者を貶める煽り文句を教えたりなど、“いらない情報”を不特定多数の人が確認できるところに提示したことが、より燃え上がらせた要因としても想定される。
配信: 女子SPA!